がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母による大腸がんブログ~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴るブログです。

これが私の自覚症状

変化の兆しは、今年、2018年の年明けくらいから訪れていた。

トイレットペーパーに、正体不明の茶色いものがすこーし、つくようになっていた。

 

ただそれは、いわゆる「下血」とか「出血」というイメージのものじゃなくて。

どっちかというと、生理の時期じゃないのにちょこっと出血があるふうな、いわゆる女性が言うところの「不正出血」?的な感じのものだった。これはいったい、どの穴から出ている?的な(笑)

 

私はそれまで生理不順ではなかったし、不正出血もあまりなかったから、これは何か婦人科系の病気の疑いだろうか?なんか気持ち悪いな…くらいの感覚でいた。特に病院にかかることもなく。だって全然たいしたことないし。

 

そのうち、排便時のトイレットペーパーに、なんとなく赤っぽい粘膜?みたいなものがついている感じがあった。これも、明らかに血っていう感じではなくて、そうね、例えるなら生のトマトを切った時の種の周りのゼリー状な感じ。色も、薄赤くて。もちろん、痛みも全然ないから、痔ではないよね?ってことは容易にわかる。

 

それから、夕方に時々、便意をもよおすことがあった。私は基本的に朝型排便の人だから、そもそも夕方というのがおかしな話なのだ。そしてトイレに行くも、排便はない。でもなんかちょこっと出た?と思ってトイレットペーパーを見ると、そうね、例えるなら梅干しの端っこみたいな(笑)状態の赤茶色のものが、爪の先ほどの少量、ついているのだった。

これは明らかにお尻の穴から出ているのであった。

 

なんか気持ち悪いなぁ、と思いながら、例によって痛くもかゆくもないし、お腹が張るとか膨れるとかもないので、すぐに受診するわけもなく。

 

いや本当は、このあたりでおしりカメラをすぐに受けるべきなんですよ、みなさん!!

 

なお2月の初めごろに、私は一度、おしりカメラを受けたクリニックを受診していた。それは、前の年にやったピロリ菌除去の結果を聞くために…。

ピロリ菌とは無事にサヨナラ出来ていて、ひとまずめでたしめでたし、だった。

先生に、「何かほかに気になることはないですか?」と聞かれ、

先に述べたような症状があることを告げた。すると、

 

「心配なことがあるなら、大腸内視鏡やったほうがいいですよ。何か出ているということは、体の中で何かが起こっているということだから。内視鏡でそれが見えるんだから、何が起こっているか調べたほうがいいですよ」

 

…と、至極まっとうなアドバイスを下さった。

ただ、トーンとしては、

「そんな症状があるなら大変!すぐに検査してください!」

というものではなく、あくまで自己判断で、受けてみるといいですよというニュアンス。

 

この時わたしはまだ油断していて、

どうせ新年度、4月に入ったら会社の健康診断を受けるわけだし、その時に何かあればわかるでしょ、それからでもいっか!と思っちゃったんですね…。

 

あの2月の時点ですぐにおしりカメラをやっていたら。

もっと私のがんのサイズは小さかっただろうし。

そうしたらもっと手術もシンプルなもので済んだかもしれない。

今となっては後悔しきり、である。

 

さて時は過ぎて5月。会社の健康診断の時が来た。

4月以降、適当な検査日を総務部が予約してくれて、私はたまたま5月の末に割り当てられた。これがもし、もっと遅いタイミングを割り当てられていたら、さらに発見が遅れていたね…。

 

検査にあたり、二日分の便を提出する。便の表面を採取棒でまんべんなくこすり、専用の容器に入れる。いつからか二日分の提出になっているのね。昔々は一日分だった気がする。

この方法で、目に見えない血液も調べることができるそうで。「便潜血検査」、まさに、「便に潜む血を調べる」検査というわけである。

 

ま、私の場合、この頃には、便をよくよく見ると表面に薄赤い筋みたいなのがついていたんですけどね。これこそまさに、便ががんの近くを通るときにがんを刺激してわずかに出血した、その血だったわけですけどね…。

 

さてその後、1か月して待望の検査結果が会社の私のデスクに届いた。待望の、というのも変な話だけど、私の中ではすでに何らかの覚悟みたいなものがあったのは事実。検査結果で要精密検査が出て、そしてまたあのクリニックにおしりカメラをやってもらいに行くのだ。そんなシナリオが、頭の中に出来上がっていた。虫の知らせ的な何かかな?

 

これが、6月28日の話。

 

ここからのことは、以下の記事にて詳しく書いております。

 

calorina.hatenablog.com

 

かいつまんでスケジュール面のことだけ言うと、

5月29日:健康診断実施日

6月21日:要精密検査という結果を得てすぐにクリニックに予約の電話

6月26日:クリニックに問診に行く(いきなり検査予約は出来ません。必ず事前の受診が必要!)

7月20日大腸内視鏡検査を受ける

7月28日:がん確定と言われた(細胞の病理検査の結果が出た)

 

最初に異変を感じたのが年明け、1月だから、それから半年以上経っての検査となったわけだ。

 

大腸がんは、がんの中でも比較的おだやかで、進行が早いものではないと言われているけれど、一応わたしまだ46歳だし。若いと進行が早いというし。半年もあれば結構がんも育っちゃったかなと思うし…。(実際には痛くもかゆくもないので、がんの発育状況は知る由もないのだけれど)

 

と、まあ、このように半年くらいはすぐに経過してしまうものなので、

万が一、いまこれを読んでいる方の中に、ちょっとでもおかしな「これって出血?」的なものが見られる方はすぐにおしりカメラの予約を!

 

というか、その前に、おしり拭いたらトイレットペーパーをまず見ること!

すぐにウォシュレットできれいにしちゃったらダメですよー。

食べ物の最終ランナーの行く末を、ぜひとも見届けてあげてください。そこにサインがあるんですから。

せっかくサイン出してくれてても、見なければ意味なし、ですよ。

 

⇒次の記事はこちら。

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早期発見ができれば、がんは治るとみんな知っているはずなのに

前回アップした「胃がんを抜いて、日本人のがん患者数トップとなった大腸がん」という記事、たまたま、はてなブログの「おすすめ」で紹介していただいたらしく、知らない間に多くの方に読んでいただけたようです。アクセス解析を見ると、今まで見たことのない数字で驚きました。通りすがりでたどり着いてくださった読者の方々!読んでくださってありがとうございます。

 

ところで、

私がこのブログで書きたいネタは多岐にわたりすぎていて、いざ、今日は記事書こう!と思ってパソコンを前にしても、さて…何から書こう?となってしまって。最近、思うように筆が進みませんで。

 

でも、今回多くの方に読んでいただけたことで、思い起こしました。私がまず、皆さんにお伝えしたいことは何だろう?ってことを。そうだそうだ、このブログの根っこには、それがあったはずだ!と。

 

何よりお伝えしたいことは、

 

「がんの早期発見」

 

そうするために、まずは

 

「一人一人が自分の身体の声に真摯に耳を傾けることで、自分で、自分の中のがんの存在に気づいてあげること」

 

このことが大事なんだよ!ってことを、お伝えしたかったんだった!

だって、がんは、初期の段階で発見できれば治る病気なんですから!

 

そのことを、みんなが知っている。私だってもちろん、知っていた。

それでも、自分の身体の変化を、見て見ぬふりをしてやりすごす日常のなんと多いことか…

いかに、先延ばしにする日常の多いことか…

 

私もね、あと1年早ければ、もっと楽にがんを退治することが出来たと思うのよ。

実は私も、変化に気づきながら、先延ばしにしていたんです。

 

私の場合の「大腸がんの初期症状」は、梅干しか?トマトの種の周りか?

そんな感じだったんですよ。まさかそんなのが、がんの兆候だなんて。思わないし、思いたくもないし。そんな感じでした。

 

⇒次の記事はこちら。

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胃がんを抜いて、日本人のがん患者数トップとなった大腸がん

イムリーなことに、9月15日に国立がん研究センターから、最新がん統計が発表された。2016年にがんで死亡した人の数、そして2014年に新たにがんと診断された患者の数などが発表された。(ええと、今年は2018年なので、統計最新といえども4年前の数字なのですね…)

 

ganjoho.jp

 

それによると、2014年に新たにがんと診断された患者数は、前年から1万8578人増加したそうだ。男性が約50万人、女性が約37万人。がんにかかるのは男性のほうが多いのね。

 

そして衝撃だったのが、私がかかった大腸がんが、部位別患者数の男女全体において、胃がん(約12万6千人)を抜いて初めて最多になった(約13万4千人)!ということ。

 

1.大腸がん

2.胃がん

3.肺がん

4.乳がん

5.前立腺がん

 

が男女全体の患者数トップ5である。

 

ちなみに女性のみを見ると、

1.乳がん 約7万6千人

2.大腸がん 約5万7千人

3.胃がん 約3万9千人

 

ちなみに男性は、

1.胃がん 約8万6千人

2.肺がん 約7万6千人

3.大腸がん 同

 

となっている。

 

絵で見るともっとわかりやすいので、がん研究振興財団の資料「がんの統計’17」から拝借しますと…

(こちらは予測がん死亡数と予測がん罹患数、2017年のもの)

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私も、女性ががんになると言えば、乳がんというイメージが強かった。でも意外と大腸がんが2位だし、さらにさらに、部位別がん死亡数で見ると(上の図)、大腸が女性のトップなんですけど…。

 

ということは、大腸がんって、時代のトレンドね?

私ってば、時代の最先端を行ってるのね?

…全然嬉しくないトレンドですが。

 

ところで、なぜ胃がんを抜いて大腸がんが全体患者数トップになったのか、ということの理由としては

 

胃がんの原因となるピロリ菌(汚染された水、田舎の井戸水など?から感染すると言われている)の感染者が、戦後、衛生状態の改善によって減ったため

 

ということが挙げられていた。

なるほど…。胃がんが減ったことで、大腸が多くなったというわけですな。

 

それともう一つ、よく言われていることとして、

 

・日本人の食生活が欧米化したこと

・日本人の高齢化が進んだこと

 

この2点が、大腸がん増加の要因とされている。

大腸がんは「生活習慣病」と言い切る先生もいらっしゃる。

 

http://www.jsge.or.jp/citizen/2006/kantou2006.html

 

生活習慣病ですか。

 

なんかあまり言われて嬉しくないフレーズ。がんになった自分の、これまでの生活習慣が真っ向から否定されている、みたいな。そんなネガティブな気持ち満載にさせてくれるフレーズである。

 

しかし自分にも、思い当たる節がないでもない。だからこそ、いやーな感じがするのである…。

 

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はじめに:このブログを書く理由

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お世話になった病院


気が付くと、寝室にエアコンをつけずに眠れるほど、涼しい夜になっていた。

そうか、もう9月かぁ。

 

いつの間にか2018年の夏が終わったんだね・・・

 

この夏は私にとって、

そして私の家族にとっても、忘れられない夏になった。

 

誰よりも元気でパワフルで、よく食べ良く飲み、健康第一がモットーだった46歳の私が、ある日突然、「患者」になった。病名は「直腸癌」。ちょくちょう、がん。

 

がん、という言葉を医師から聞いた時のことは、もやっとしていてあまりハッキリ覚えていないのだけれども、ががががーん・・・っていう感じではなかったことは、確かだ。

 

そうか。そう来たか。

そうなんだ、わたし、がんなんだ。

 

自分でも意外と冷静に、その事実を受け止めた。というか、無理して受け止めようとしていたのかも知れない。その時は。

 

だけどだんだん、気持ちはざわついてくる。

いくらがんは治る時代と言われても、がん、ですよ。その言葉のインパクトは大きい。

時間が過ぎるにつれ、いろんなことが

 

夫は単身赴任で仙台にいる。高2の息子と中1の息子と、3人で横浜に暮らしている私。

平日はフルタイムで会社勤めをしている。

これから秋にかけて担当業務が目白押しである。

 

仕事はどうしよう?

入院中の子供たちはどうしよう?

それより、またこの家に帰ってこれるのかな?

私のがんは、治るのかな・・・?

 

そんな思いとともに始まった2018年の7月。

8月半ばに入院して手術して、退院していま9月。自宅に無事に帰ってこれた。

そのことにまず感謝したい。戻って来られて本当に良かった。

 

戻って来られたことは来られたけど、わたしのカラダは以前とは違う。大切な臓器の一部が切り取られてしまったから。これは想像以上に大きな変化であった。

 

直腸は失ったけれど、がんになって私が得たものは大きいし、後悔も何もない(後悔しても仕方ない。だってこれが現実だしね)。

ただ、世に大勢いるであろう「がん予備軍」の皆さんには、できるならがんにならないで過ごしてほしい、と心から思う。がんってやっぱり、結構かなり、シンドイからね。一度がんになると、結構いろんなことが制限されますからね・・・。

 

だから、このブログを書くことにしました。

私の体験や思いを赤裸々に綴ることで、もしかしたら誰かのお役に立つことがあるかも知れないから。こういうがんもあるんだ、ってことを知り、それが誰にも起こりうるんだってことに気づいてもらえたら。そして出来る限りの予防をしていただけたら。私が書く意味もあるってものです。

 

不定期の更新になると思いますが、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。

 

(ブログ名について:わたし、織田裕二さんのファンでした。東京ラブストーリーの時代に東京で女子大生してました。永尾完治と赤名リカのストーリーにどきどきしてた世代です。がんが完治するということは極めて難しいことですけれど、カーンチ♪目指して私の身体には頑張ってもらわないと!という思いを込めて・・・)

 

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入院12日目:術後8日目 がんの先輩、鳥越俊太郎さんの声と、石弘光さんの本に出会って・入院13日目:術後9日目 証明書を依頼しそびれる&義父母に、そしてコメント励ましにありがとう

入院12日目:術後8日目

 

2018年8月28日(火)

 

やはり夜中にトイレに2回起きてしまうのは仕方ないのか…。と、もはやあきらめの日々。

今朝は5時10分に目覚めたので、日の出に間に合う!と思って窓辺に行ったら曇っていた。

ここにきて、太陽の見えない朝は初めてだ。これまでずっと、明るい朝だったのだなぁ。いや、確か手術当日は雨だった記憶がある。さて、どうだっけか。

 

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久しぶりにラジコを聞いていたら、どこのFMだったかわからないけれど、鳥越俊太郎さんの声が聞こえてきた。がんの大先輩の、鳥越さんである。

 

ここだけの話、私は数年前に鳥越さんのご自宅にてインタビュー取材をしたことがある。その時は、孫の話を書いた本を出されたばかりで、そのことがメインだったのだけれど、がんで何度も入院したけれどこんなに元気!というお話もされていて、驚いたことを思い出す。ジムに通い、食生活をとことん改善し、すこぶる調子がいいと話されていた。まさかその後、自分もおなじがんになるとはなぁ。そしていま、ものすごく久しぶりに鳥越さんのお元気そうな声を病院で聞くことになろうとはなぁ…。

 

そういえば昨日あたりから、痰がほとんど気にならなくなった。手術後、麻酔の管を喉から入れていたせい?で、気管がダメージを受け?痰がずっとからんでいて不快この上なかったのだ。痰は飲みこまず、なるべく出しなさいと言われるも、お腹に力を入れると傷口が痛いし~。話もしずらいし~。で、嫌な存在だった痰が、消えてくれた。ようやく。これはかなり楽である。

 

傷の痛みもほとんどない。術後1週間ってすごい!

 

あとは、婦長さん、いや、師長さんに退院OKをいただくだけだ。お向かいのベッドのHさんは明日退院、奥のベッドに入ったばかりのKさんは今朝、娘さん夫婦ともに手術室へ向かった。見送り、見送られ、次々に患者さんのリレーは続いている。

 

10時、師長さんが来て、ついに退院日が確定した!わたしの希望通り、8月最後の日、31日の10時に部屋を出るように支度してくださいね、とのこと。良かった。退院日には、私一人の予定ではなく、迎えに来る夫の都合なども関連するからね。希望通りで本当に良かった…。

 

お昼過ぎ、はじめてコインランドリーを使ってみた。洗い100円、乾かし200円と安い。たまった下着とパジャマ、それにタオルを洗ってみた。今週は家族はもう来ないから、着替えが届くあてもない。だからコインランドリーはありがたい存在だ。

 

今日は、1Fインフォメーションコーナーから借りてきた新書「癌を追って」石弘光著を読了。

 

石さんは、経済学者で、一橋大学の学長も務められた方。お父様が前立腺がんだったことから癌のことを調べはじめ、そのうちご自身も同じがんにかかり、家族目線・患者目線で体験談を綴った。この癌研有明病院で手術を受けたことから、病院の様子なども細かく書かれているので私にはとても身近でリアルで興味深い内容。最上階のVIPルームのこともよくわかる(笑)

 

さて石さんは今どうされているのだろう…と、すぐにググってみたら。

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なななんと、ニュースで報じられいた…すい臓がんで8/25に死去されたと。まさかそういうこととはつゆ知らず、何というタイミングで私は石さんを知ったのだろう。なんなんだろう、このタイミングは…。すい臓はここ有明ではなく、東京医科歯科大で治療されたらしいけれど。せっかくだから、生きているうちにお話聞いてみたかったな。ご冥福をお祈りするしかない。

 

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入院13日目:術後9日目

 

2018年8月29日(水)

 

午前中、1階3番窓口に出向いた。保険請求のための証明書を依頼するためだ。

すると、同一病棟で同一科で手術・入院する場合は、複数の手術・治療を1枚の証明書にまとめて書いていただけるとのこと。そのほうが経済的ですよ、とのこと。

 

そうなの、証明書って1通書いてもらうごとに1万円くらいかかるのですよ…。安くないんですよ…。

私の場合、このあと、ストーマ閉鎖手術を控えているから、それを終えた時点で今回のと2回分まとめて手術証明書を出してもらうのがベストなのだ。なるほど。勉強になります。

 

ストーマと言えば、今日は看護師さんから、今後の自宅でのケアについての話があった。交換用のパウチ(袋)は、専門の代理店と直接やりとりして購入するとか。外出時は積極的にオストメイト用のトイレを使ってよい、とか。まだ若いほうだから、だれでもトイレを使うことは気が引けるかもしれないですけど…と言われ、そうか、やはり46歳は若いほうなのねと再認識。ストーマ生活に関しては、いろいろと面倒くさそうだなぁ、というのが正直な印象。まぁ、仕方ないのですが。

 

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お昼を食べて(8割ほど食べた)、シャワーを浴びてさっぱりしたころ、義理の両親が来てくれた。この二人が病院に来るのも今日が最後。ほんとうにお世話になりっぱなし。北海道の母が帰ってからは、この二人に我が家に寝泊まりしてもらって息子たちの食事のお世話などをしてもらっているのだ。二人とも70過ぎだけど元気で、こうして快くサポートしてくれているから、私は安心してこころゆくまで入院・休養できていますよ。感謝してもしきれません…。

 

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二人を12階と5階のテラスまで案内し、最後は1階のタリーズでお茶をした。私は持参したポカリを飲んでいた。このところ、朝いちばんの尿の出が今一つなんだけれど、それは寝ているときに脱水気味になっているからだそう。もっと水分を取らないと、ということで日中は積極的に飲んでいます。

 

FBやブログへのコメントがたくさん寄せられて、みんなの励ましが本当に嬉しく、ありがたい。わたしはどちらかというと、人を励ます側でいままで生きてきたつもりだけれど、今回は逆で、励まされっぱなし。お世話してもらいっぱなしだ。これは本来の私らしくない感じがして、どうも居心地が悪いかんじがするのだけれど、嬉しいことには変わりない。私のことを心配し、案じ、無事を祈ってくれる仲間の存在は、どれだけ私にパワーを授けてくれるか。本当にね、すごいパワーをいただいているよ。これは入院してみるまでわからなかったなぁ。会って直接言葉をかけてもらうことも、会わなくても、遠くにいても、文字で言葉をかけてくれることも。どちらも同じくらい、私に元気をくれています。ありがとう。

 

次の記事はコチラ。

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入院11日目:術後7日目 誰も来ない月曜日、ブログを書いてNetlfixを見た

2018年8月27日(月)

 

夜中、23時、2時半、4時にトイレに起きた。眠れているつもりだけど、結構起きているなぁ。一晩まるまる眠りたいなぁ。

 

5時半に朝陽を見に窓辺に行ったら、うーん、もうずいぶん日が高い…。もっと早く起きないと、「日の出」には出会えない。

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さて、今朝の楽しみは、Google Mapでこの目の前に広がるパノラマの風景と、地図を照らし合わせてみること。これまで漠然と眺めていた有明の建物の名前を、地図によって知ることが出来る。

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下水道博物館とか、パナソニックの見学が出来る施設とか。ドームという名前の企業があることも知った。アンダーアーマーなどを扱っているんだな、とか、CEOが私と同世代なんだな、とか。地図から企業のサイトに飛び、いろいろと調べるのが楽しい。

 

やっと周りに目が向いてきた、ということかな。自分の身体が少しずつ本調子に戻ってくると、本来のわたしの持つ好奇心気質が現れるということね。これまでは、そんな余裕はなかったというのかな。不思議と今日は、そんな調べものをしたくなったのだ。

 

ランチはうどんだった。麺類は久しぶりで美味しい♪

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午後は1Fタリーズにてブログを書いた。1週間ぶりのブログ執筆。

いま私が何をしているか、プチカミングアウトしてみた。がんサバイバー、と名乗ってみた。

calorina.hatenablog.com

 

今日は誰も病院に来ない日。こんな日は、入院してから初めてだ。

だから時間がたっぷりある。本を読んだり、タブレットNetflixを見たりした。見る映画は、がんの話ばかり。楽しい映画でも見ればいいものを(笑)

 

”がん”を恐れず生きる

https://www.netflix.com/title/80126485

 

アメリカのドキュメンタリー映画

David.S シュレベール

Meagan O'hara

 

がんについて、患者の気持ち、予防医療のこと、啓蒙活動のこと、いろいろと考えさせられる良作品だった。私はもう”がん”だから、この映画で語られることすべてがダイレクトにわたしに響く。

きっと、まだ”がん”でない人とは、見方が違うかもな…などと思いながら、ベッドで一人で見ていた。見て辛くなったり悲しくなったりは、しない。現実に自分に起きていることと、映画の中で起こっていることと、割と冷静に対比したり共感したりしつつ、見ていた。

 

そういえば今日は、悲しいニュースが一つあった。

ちびまる子ちゃんの作者、さくらももこさんが乳がんで亡くなったと。53歳。

稲光が激しい夏の夜だった。

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入院10日目:術後6日目 ストーマパウチの交換練習と、北海道の母や仙台の夫としばしのお別れ

2019年8月26日(日)

 

5時10分に起床。朝陽には少し遅かった…すでに太陽はギラギラしていた。

ぐるりと病棟の窓際を歩いて、写真を撮った。

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そういえば、病院の前にそびえる建設中のタワーマンション、なんていう物件名なのだろう?と、この日ふと知りたくなって検索してみた。シティタワーズ東京ベイ、という住友不動産の3棟建て、32階の高さがあることを知った。調べれば調べるほど素敵な物件だ。新橋や虎ノ門勤めにはぴったりな距離感の、理想的なロケーションかも!と思ったり。都心なんだけど、海がすぐそこで、しかもこの朝陽だよ…。この病院に通うにも近いしね♪

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ずっと37度が続いていた体温が、今日は36.5度まで下がっていた。平熱はもともと低くて35度台が普通だったから、これでも高いほうだけど、37度に比べたらずいぶん身体が楽な気がする。

 

体重測定をします、と館内放送が入り、歩ける人はみんな体重計のあるところに集合した。学校みたいに一列に並んで、体重計に乗った。手術前よりも5キロくらい軽い。これしか食べてないんだから、もっと減っても良さそうなものだが…。

 

10時過ぎ、シャワーを浴びていたら、妹と母と次男のトリオと、今日は妹のダンナも来てくれた。日曜日だものねぇ。そして母とはここでサヨナラだ。これから午後の便で北海道に帰るのだ。

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この1週間、みんなが毎日来てくれたから、楽しく乗り切れたと思う。このタイミングでがんになったことに感謝したい。

 

何より、がんになったのが、私で良かったと心から思う。

これが、母だったら?私が北海道に駆け付けることになるよね。その時、仕事はどうしよう。子どもたちのことはどうしよう?

 

仙台の夫ががんになったらどうだろう?やっぱり私は仙台に駆け付けるのか?働き盛りの大黒柱のがん入院は、いろいろな意味で大変だ。

 

そんな風に思うと、私が家族を代表して今回がんを引き受けた意味とか、私にがんができた意味とか、私に課せられた何かとか…きっと、あると思うのよ。

 

だから、私でよかったの。私だから、良かったんだ。

 

さて11時、ストーマのパウチ(袋)を付け替える練習の時が来た。これまで何度もビデオを見て、手順はばっちり把握しているつもり…なんだけど、看護師さんが見ている前で一人でやってみるのは、結構どきどきするし、出来るかなぁと子供みたいに不安になる。

 

とにかく、漏れないように、しっかりとストーマの周りに袋を貼り付けるのだ。それなりのテクニックが必要だ。

 

これを毎日繰り返し、最後は、卒業テストに合格すれば無事退院と相成るわけで。今日の私の様子から、希望の31日退院のセンで進めていただけるようだ。(退院日は、主治医はもちろんのこと、最終的には病棟の婦長さん:もとい、今は「師長」さんと呼ぶ…が決めるのだ。)

 

持ってきたタブレットで、LA LA LANDを見たり、図書スペースから借りてきた「コンビニ人間」を読んだり。少しずつ、そういう時間が出来てきた。

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午後、会社の上司がお見舞いに来てくださった。とても仲の良い、女性の上司。何でも話せる、職場で一番身近な存在だ。手術のこと、これまでの経過、何がシンドイか、今後の働き方のこと…いろいろとお話した。職場ではほかに闘病中の先輩もいて、いろいろと大変そうだ。私も早く戦力になりたいけれど、この状況では。いつ、復活できるかなぁと思う。

上司は、とっても可愛い相棒を連れてきてくださった。今夜から一緒に眠るのだ。

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上司を見送った後、今度は夫が一人で来てくれた。満月が美しい夜だったから、12階のテラスと、5階の庭を一緒に歩いた。私の入院はあと5日ほど続くけれど、明日からは平日だから、夫と次に会えるのは退院の日だね…なんて話をして。ここまで早かったね、って。夫の仕事も、8月はそこまで詰まっていなかったからこうして何度も来てくれたけど、9月はかなり慌ただしくなるみたい。今月の手術が実現したことは、夫の業務的にも、本当に良かったのだ。

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夫とハグしてお別れし、部屋に戻り、そろそろ北海道の実家に着いたであろう母に電話した。するとショッキングなことが。藤沢に住む大叔父があと2~3週間の命だという。すい臓がんを患っていて、余命宣告を受けていたけれど、そんな急に!

私が退院して会いに行くまで、頑張っていて欲しいな…。まだお礼をちゃんと言えてないから。

 

そういえば、奥のベッドに新しい方が入られた。私にとっては初めての後輩にあたる患者さんだ。76歳で、結腸がんだそう。自覚症状はなく、別の持病の血液検査で貧血と出て、いろいろ調べたら大腸内視鏡でがんが見つかったんだそう。本当に、がんってものは。自分ではないと思っていても、身体の中に、あるんだねぇ…。

入院9日目:術後5日目 涙の数を数えた日&5日ぶりのシャワー♪

 

入院9日目 術後5日目 涙の数を数えた日&5日ぶりのシャワー♪

2018年8月25日(土)

 

8時に朝食が届く。毎日とても美味しいご飯でうれしい。

ただ、このところ、食後のお腹の張りが気になるから、泣く泣く腹5分目にとどめることにする。食べたものの流れが若干悪いのかなぁ、やはり手術した腸の動きは、まだまだ本調子でないのだなぁ。

 

この日も寝ながらいろいろと頭の中で考えていた。

そうだ、本、書こう!

電子書籍でいいから、本、出したいな。

でも、スマホやパソコンを使えないような、病院の中で手術待ちのご家族にも読んでもらいたいから、やっぱり紙の本のほうがいいな…。

とかとか。

 

今日に至るまでに流した涙の数とか。大きな涙は6回あったなぁ。

1回目は、コレットマーレの中華料理店で。大腸内視鏡検査が終わり、とりきれない腫瘍があって、たぶんこれは「がん」だって分かった時。築地、有明、五反田…と聞いて、これから私、どうなるの…私、がんなんだ…って。泣けるよね。

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2回目は、子どもたち二人と車で金沢のアウトレットに向かう車の中で。二人が小競り合いをしていて、あんたたち、ママがいなくなったら二人でちゃんとできるの??って怒って。もしもこの二人を残して死ぬことになったらと思うと、二人が心配で、やるせなくて。泣けるよね。

 

3回目。夏の葉加瀬太郎フェスで、思い出の槇原敬之の曲などを聞いて。隣にいる夫の顔を見ていると、ここに二人で来られた幸せをかみしめつつも、彼を残して死んだら、夫はこれからこういうフェスにも一人で来ることになるのか…と思うと。申し訳なくて、切なくて。ほろほろと泣けた。

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4回目は、お盆休みの実家で、両親への告知が迫るとき。本当のことを言う?言いたくない。でも言わなくちゃ。お父さんお母さんごめん…

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5回目は、手術室に入った時。家族とハグしてお別れして。もしかしたらこれでみんなと永遠のサヨナラかと思うと…。みんなの励ましもまた、泣けた。

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そして6回目。術後1日目の、ベッドから起き上がるだけでフラフラして、立って脂汗が流れた情けない日。こんな簡単なこともできなくなっちゃった自分が悲しくて、もう私はダメかもと思って泣いた。

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やっぱり結構泣いてるよね(笑)

自分は強いほうだと思っていたけれど、がんのパワーは、そんな私をもこんなに泣かせるものなのだな…。

 

それにしても、なんでこんな涙のことを、この日に思い出したのか。それは不明。気持ちの整理が必要だったのだろうか、無意識的に。

 

さてこの日の担当ナースは2年目の若くて可愛いMちゃん。働き方について語った。結婚して子供も欲しいけれど、10年目くらいのキャリアになると、仕事を抜けられない立場になるから、タイミングが難しい…と言っていた。しっかりと将来を見据えて働いている若い彼女を、心から応援したいと思った。働き方改革は、医療現場にこそ、とても必要。

 

9時15分ごろ、レントゲン室に呼ばれた。お隣に座っていた女性は、結腸と子宮を切除し、もう何年か生きられればいいから、QOLを大事に生きたいのよ…とお話してくれた。まだ70ちょっとか、とてもお若く見えるけれど、そんな風に思っていらっしゃるのね。

 

そして10時過ぎ、ついに、ついに!久しぶりのシャワータイムを迎えた。もう5日ぶりですよ…。さすがにね、気持ちいいー。あらためてお腹の傷を見ると、本当にびっくりするくらい小さい。腹腔鏡手術では、へその穴プラス、4つの穴をお腹に開けたけれど、ほんとにね、蚊に刺されたの?くらいの傷跡しかない。先生、上手だなあ。

 

髪も洗い、ドライヤーして、すっきりさっぱりしてお昼を食べた。少し横になっていたら妹が来て、それから間もなく母と次男もやってきた。夕方には、久しぶりに長男も来てくれて、仙台から夫も合流した。とても賑やかな土曜日!

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私はまだ痰が絡んでいて、声が大きく出せない。対照的に母の声は大きくて、なんだかちぐはぐな音量での会話だけれど、楽しい。そういえば北海道の母が来てもう1週間が経っていた。速いなぁ。これからの1週間もあっという間に過ぎるのだろうか。

 

みんなを見送って、1階から病棟に戻ろうとエレベータに乗ったら、ポルトガル語を話す患者さんと一緒になった。パウロさん(仮名)は20代で来日し、もう40年以上日本に住んでいて日本語ペラペラ。でも、ポルトガル語で話した。パウロさんの患者体験もすさまじくて、紆余曲折を経てこの病院にたどり着いたということだった。もうすぐ退院だそうで安心した。私もパウロさんも、ポルトガル語で話す非日常的な感覚を楽しんでいた。閉ざされた病院空間だけど、こういう出会いもあるから、なかなか面白いのだ。

 

夜は薬なしでぐっすり眠れた!トイレにも起きずに眠れた。

そのせいで、ストーマ袋には200cc近く、たっぷりたまっていたけれどね…

 

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入院8日目:手術後4日目、お尻とお腹の管が抜け完全チューブフリー!そして栄養指導を受ける

2018年8月24日(金)

 

なぜか昨夜はお尻がちくちくと痛み、まともに眠れず…。いつ眠り薬をお願いしようかと、悶々としながら午前1時半まで耐えついにナースコールを押した。痛み止めと眠り薬をもらい、その後はよく眠れたみたいで、午前6時40分に朝の回診にT先生が来た時も眠くてぼんやりしていた。

 

執刀医の先生に代わり、手術内容を詳しく説明してくれ、回診にもよく来てくれる若手のT先生。本当に笑顔がやさしくて、私は大好きなんだけど、明日から夏休みで帰省されるそうだ。退院の日にはまた会えますかね?と聞くと、そのころには戻っていると思いますと。数日のことだけど、先生の顔が見られないのは淋しいなぁ。最後の日には一緒に写真撮れるかなぁ、などと思っていた。

 

朝ごはんが運ばれて、さぁ食べよう!と思ったところで、主治医のF先生が登場。本当にいつもふらっと顔を出してくれるF先生。短く一言二言で去って行かれるけど、インパクトあります。管が抜けると、また楽になるよー、とおっしゃった。そう、私にはまだ2本の管と、点滴入れるためのポートが左腕に刺さっているのだ。

 

術後4日目となる今日。

何か術後の不具合が出るとしたら3日目までのことが多い、とT先生はおっしゃっていたので、とりあえず何ごともなく4日目に突入したので、術後は安定しているということね。

 

実際に、手術後、縫合不全などで再手術…という話も、身近に聞いた。再手術…想像するだけでしんどい…。あの全身麻酔からの、麻酔が覚めてのしんどい時間をもう一度やるなんて。想像するだけで嫌だ。そうならずに助かったよ。私の身体、ありがとう。

 

食欲もあり、ご飯が今日もおいしい。おいしいんだけど、6分目にしておく。腸が詰まるのが怖いからである。

 

今日のLINEには、キャリコン養成講座グループの仲間から、週末の試験の話が流れていた。そうだ、この週末は筆記試験があるんだった。わたしは幸いにして、7月に合格が判明していたから、今回の試験は受けなくてよい。もし不合格だったら、このタイミングで受けるはずだった…。私の身体にはがんがあったから、神様も一回目の試験でパスさせてくれたのだろうか、とか思ったり。タイミングの神様はすごい。今年の目標はまさに、キャリコン試験合格だったから、それを果たしたうえで入院ということになった。やりたいこと全部できた上での入院で良かった。このタイミングは我ながら本当にすごいと思う…。

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12:55、T先生が来て、お尻の管を抜いてくれた。こ・れ・が…

今回の入院で最も痛い体験であった。お尻の管とは、肛門からすぐのところを切って縫っていたわけだが、そこの縫合不全がないかどうかを確かめる(じわじわとそこから出血してないかを見る)ための管だそうで、恐ろしいことに、結構太い管(ドレーン)が肛門に「縫い付けて」あったらしい。

 

まずその縫い付けていたホチキスみたいな針?をプチプチと取られる。痛い。

 

次にチューブをお尻から引き抜く。これがもう・・・

思わず、イタイヨー!と大人げなく声が出てしまうほど、痛い。泣きはしないけれども、泣きたくなるレベルの痛さだった。

 

肛門の中に5センチくらい入っていたという管は、確かに抜かれるとすごくラクになった。同時に、お腹につけられていた管(これは何だっけ?)も抜いてもらえた。こちらは痛みなく楽勝だった。

 

お腹から排出されるものを入れておく袋、そしてそのカバーが布製の手作りポシェットで、柄がたまたまスヌーピーだったのだけれど。結構気に入っていたけど、そのポシェットともお別れできた。(写真撮っておけば良かった!)

これで本当にドレーンフリーの身となった。こうして少しずつ私の身体は戻っていく。一日一日、たしかに少しずつ前進している。嬉しい。

 

この日のノートには、「元気度のうつりかわり」と題したグラフを書いていた。

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手術前々日から今日までの、わたしの元気度のバロメーターを曲線グラフにしていた。そう、まさにこんな感じ。V字回復である。

 

14:40から、1階のセミナールームで「栄養士による食事について」の説明会に参加した。腸の手術を受けた人は必ず出るもの。約20分の短い時間ながら、コンパクトにまとまった良い情報がたくさん得られた。要するに、今後退院してからの自宅での食事はどんなことに気を付けるのか?という話。ポイントは3つ。

 

・ドカ食い禁止、一日5食

・術後1か月間はいろいろと注意(お酒NG、生ものもNG)

・キノコ、海藻、ナッツ、繊維質の多いものはNG

 

腸の手術の後、何が怖いって、「腸閉そく」が何より怖いのだ。腸が食べ物によって詰まることは、何としても避けなければいけない。キノコ、海藻などは、普通は健康にいいヘルシーフードとして認識されているけれど、腸の手術後は要注意。なぜなら、消化分解されにくく、食べたまんまの形で大腸まで届くから、たくさん食べると詰まりやすいのだ。

 

帰宅後2週間はおかゆ生活、というのも厳守しないと。主食はしっかりとりなさい、ということなので、おかゆをしっかり作って食べよう。白いご飯やパンはしばらくおあずけだ。

ひとりひとりの体重に合わせた必要カロリーが書かれた紙をもらって、部屋へ戻った。1日1600kcalか…いいダイエットになるな、これ。

ふと、カツ丼なんかは1食1200カロリーくらい軽くいくよなぁ…などと、頭をよぎった。

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16:45 左手の甲に刺さっていた、点滴を入れるためのポートが外された。これもなにげに違和感があったので、外されて楽になった。これで完全に、私の身体には管という管がひとつもなくなった!カ・イ・カ・ン。

 

夕方は、横浜からお見舞いに来てくれた義理の両親とデイルームでずっとおしゃべりした。だいぶ顔色も良くなり、元気そうにしゃべる私を見て、二人ともかなり安心してくれたみたい。良かった。手術直後の私とはすっかり別人よね。

 

18:45 窓辺のベッドのBさんに「夕日がきれいよ!」と声を掛けられてみてみると、うん、久々にきれいな夕空だ♪

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夕食後、なんだか腹部の膨張感がある。こんなの初めてだ。管を抜いたせい?食べすぎ?ちょっと心配になって看護師さんに聞いたら、お散歩で治るという。なので、1階と5階をうろうろ歩き回ってみたら、確かに少し収まった。

 

そういえば今日は、ストーマのトイレでの処理の仕方を看護師さんに教わった。トイレットペーパーをこよりのようにして使う方法に、なるほどと唸った。

 

今夜は、念のため眠る前に眠り薬をもらっておいた。痛みはないし、眠れそうな気はするけど、念のため。

 

…と思っていたら、やはりあまり眠れなかった。23:30、2:00、5:10に目が覚めた。最初のタイミングで薬を飲みそびれたのだ。うーん…。

 

お尻の痛みが、ドレーンが抜けたことでゼロになると、今度はお腹の張りや痛みに気持ちが傾くというか。痛みはどこかに一点集中で感じるものなのかなぁ。

 

結局、5:10以降はもう起きることにして、院内を散歩することにした。そしたら思いがけず、ビッグサイトの窓から、葛西方面にのぼる太陽を見ることが出来た。早起きは三文の徳♪

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そういえば昨日の歯科講座で、朝起きたばかりの歯磨きは非常に有効!と聞いたことを思い出し、朝焼けを見ながら歯磨きをしていた。

 

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入院7日目:点滴取れた!髪を洗ってもらえた!そしていろいろ考えた

 

2018年8月23日(木)

 

夜中3回トイレに起き、4回目が午前6時15分だった。

そういえば夜の10時に点滴の管を全部外され、左手が少し楽になった。自由に腕を動かせる感覚、久しぶり。こうして少しずつ、チューブフリーの日が近づいていくのね。嬉しい。

 

夜中3回も起きていると、じっくりと寝られないから、その間いろんなことを考えていた。人間、やることがないと、いろんなことを考えるものなのかな。考えるくらいしかすることないということか。

 

考えていて出てきた言葉が、

 

人生をリセット。リメイクしよう。

今を生きる。

人生一度きり。

 

そんなことをノートに書いている。(そして、のちに私のメインブログのサブタイトルに、ポルトガル語で「人生一度きり」とつけたのだった)

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本当にね、手術後のカラダは、以前のわたしのものとは違っていて。好きでそうなったわけでなくて、強制リセットみたいな感じなんだけれども。人生のリセットとも言える感じでね…。ちょっとパワーダウンしたことは否めないけど、リメイクはまだまだ出来るよね。人生一度きりだしね!と。そんなことを、長い夜に思っていたわたし。

 

さて午前中、待望の!洗髪タイムとなった。

実に…4日ぶりかな。もうね、ペトペトだよね、髪が。エアコンで温度管理されている病院とはいえ、さすがに4日もあたま洗わないとね…

さすがにまだチューブがいろいろ体についているので、自分では洗えなくて。看護師リーダーのMさんが洗髪ルームで洗ってくれた。いろんなお話をしながら。主に、Mさんがここに至るキャリアを伺っていた。そう、わたしはキャリアコンサルタントだから、看護師さんたちがこの仕事を選んだ理由とかやりがいとか、そういう話を聞くのが大好き!もちろん、話したがらないタイプの方にはあえて聞くことはないけれど、だいたいの方は、喜んで語って下さる。そして、みんな、優しいんだよなぁ…。

 

この日、奥のベッドのAさんが退院された。

ロングのワンピース姿で、元気に、笑顔で!お迎えに来られたご主人と、仲良く病室を出て行かれた。Aさんにはいろんなことを教わった。私より一足先にストーマ閉鎖の手術を今回受けた方。私がこれからたどる道を、見せてくださった方だ。

 

Aさんの失敗談もとても役立った。最初の手術の1か月後に、食べすぎてイレウス(腸閉そく)になり激痛で病院に駆け込んだことがあると。なので、退院後のドカ食いはダメよ!と身をもって教えてくださった。そうなんだ…怖いな。

 

わたしも笑顔でAさんを見送ったつもりだけど、最後に握手をしたら、なんだか淋しくなって涙が出た。そこにいた看護師のMさんは、そんな私の背中を優しくさすってくださって、また涙。こういうとき、人は背中さすりに泣かされるのだね…。手術直前に、家族と別れて涙したときの看護師さんも、黙って肩をとんとんして励ましてくれた。ボディタッチ、大事。

 

その後、わたしはもうひとつの管が外された。おへその隣に造設されたストーマ人工肛門)につながれていたチューブを外し、代わりに排泄物を入れる袋が装着された。あとはチューブがもう一つだけとなった。ポシェット一つの身となり、かなり移動が楽になった。

 

ちょうど今日は1階ロビーで、「がん患者のための歯科講座」なるものがあり、たまたま通りがかったら始まる寸前で聴衆が数名しかいなかったこともあり、誘われて聞くことにしたのだった。

主に、抗がん剤治療中は口の中がデリケートだから歯ブラシが口に入るだけでも辛いことがある、だからこういう器具で磨くのが良い…とか。

手術の麻酔の際に歯がぐらぐらしていると危険だから、事前に歯の治療が必要、とか。

全然知らない話ばかりだった。がんとお口の健康、実は相当かなり大事みたいだ。

 

午後、私と同じ日に大手術を受けた同室のBさんがICUから戻ってきた。まだまだ器具がたくさんついていて、しんどそうに見える。12時間に及ぶ大手術だったそうだ。わたしの3倍だ。手術前は確か8時間と聞いていたけれど、長引いたんだね…。

Bさんのところには娘さんや息子さんがやってきて、少しずつお話をするうちに、元気な様子が戻ってきたみたいで。私も安心した。家族の存在は大きいね。

 

そして我が家の3人組(母・妹・次男)もやって来てくれた。またタリーズに移動して、他愛のない話をした。本当に他愛のない話。でも、そこから笑いが生まれる。一人じゃ笑えないけど、みんなと一緒だから、笑える。ありがたいことだなぁ。私は幸せだ。

 

母は、娘がガンだなんてこと、ほかの人には言いにくい…と言っていた。そうだよね。私はもうすっかりガンに慣れたけど、みんなはまだ慣れてないよね。だからショック受けるよね。私も、FBの友達が少しずつ様子に気づいて心配の声をあげてくれていて。いつどうやってカミングアウトするものか、と悩む。入院生活はまだまだある。もう少し考えよう。

 

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夜になり、夕食後の散歩で病棟内をうろうろしていたら、窓の外を見ているおじさんがいた。「何が見えますか?」と声をかけたら、月の下にくっきりと金星の姿が!

「今が一番よく見える時期ですよ」とおじさんは教えてくださった。そこから病気の話が始まり、これまた壮絶な闘病ストーリーを語って下さった。余命宣告された経験があること、大動脈瘤もやったこと、もう俺は長くないから…と最後はカラっと笑っていらした。いや、すごくお元気そうに見えるんですけどね。そうなんですかね?

各地の病院事情にとても詳しくて、固有名詞をいくつも挙げて紹介してくださった。私は思わずメモメモしていた。

 

病棟内で誰かに声をかけると、もれなく長いストーリーが始まる。入院中、みんな誰かと話したいんだよね。うん、わたしもそうだもの。患者同士、わかりあえる共通の気持ちみたいなのがあるから、わたしもどんどん聞きたいよ。

 

きのう家から持ってきてもらった、お気にいりのピンクのパシーマ(薄い綿のキルトケット)は手触りが良くてやはり落ち着く。

 
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初めての入院だから勝手がよくわからなかったけど、みなさん、自宅から枕やら可愛いバスタオルやら、いろんなベッド回りグッズを持ち込んでいるらしかった。なので私もお気に入りを調達してもらったのだ。うん、これはいい。よく眠れそうだ…。

入院中は、なるべく自分の好きなモノに囲まれて、触れているのが幸せみたい。

 

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