がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母が直腸がんになった話~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴ります。

新年度の健康診断に、正しい便潜血検査のやり方は大丈夫ですか?  

4月も早いものでもう半分が過ぎました。桜も終わり、今度はチューリップが見ごろの横浜です。

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新年度が始まり、職場の健康診断を受ける人もぼちぼちいらっしゃるのではないかと思います。はい、私も先日、さっそく受けてきましたよ。

 

検診前と言えば、食事制限(前の晩9時以降は食べちゃダメとか)と、検便の提出ですよね。この検便、ぜったいぜったいぜーったいにサボらないで下さいね。(知人で、何年も便の提出をさぼっていた方がいて、急な腹痛で病院に行ったら大腸がんの末期だった…という辛い事実があります。検診は受けていたのに、便だけはさぼっていたんですって…。その方は忙しいビジネスマンでした。ほんと、これは、悔やんでも悔やみきれませんよね)

 

さて、検便ですが、二日分を採取するように…と指示が出ていますね。

これも、同じ日に二個とか、やっちゃだめですよ。ちゃんと二日に分けて採取してください。と言うのも、大腸がんの前兆といえる「便に血が混じる」状態は、毎日必ずなる…というものでもないんだそうです。今日は混じってても、昨日は大丈夫だったり。そんな気まぐれさんらしいです、便潜血ってやつは。

 

そして最重要なのは、便の取り方です。

 

わたし、ハッキリ言って、2年前は取り方を間違っていたかもしれません…

 

綿棒みたいな形状のプラスチックの棒で便をこすりとる、ということは皆さんご承知のことですね。大事なのは、「便のどのあたりをこするか」なんですよね。

 

答えはずばり、便の表面。

なぜなら、大腸がんの場合、便の表面に血液が付着するんです。便の中味じゃなくて、あくまで表面。と言うのも、大腸の内側にがんの腫瘍が出来るわけですが、まぁ言わばできものですよね。そこを便が通過するときにこすれて、わずかに出血する。その血が便の表面につく。そういうメカニズムなわけです。

 

なので、一生懸命、便の中の方をこすりとってもダメなんですよね。

 

便検査キットの説明書をじっくり詳しく読めば書いてあることなので、善良な市民の皆さんには言わずもがなだったと思いますが(笑)

 

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写真は、大阪がん循環器予防センターさんのものをお借りしました。

http://www.osaka-ganjun.jp/medical/examination/colorectal/

 

 

私は実は、間違ったやり方で、2年前の便潜血検査をやっていました。

 

 

 

と言うのも当時、私は某ワインバーのホールスタッフとして働いており、飲食業に従事する者として毎月必ず検便をしていたんです。その時は特に「便をまんべんなく」採取する、という表現だったので、表面には注目していませんでした。でも、その検査って、大腸がんを調べるための便潜血検査ではなくて、細菌や寄生虫の有無を調べる検便だったのよね。だから表面に強いこだわりはなかったわけ。

 

その流れでわたしは、便潜血検査の二日間採取の時も、パート先に提出するのと同じ感覚でやっちゃっていたのでした。それじゃあ正確な検査結果を得られるわけないですよね。

 

わたしの大腸がん発覚は、1年前の職場の健康診断での便潜血検査陽性だったんですが、その時は、「なんで去年もがんがあったはずなのに、去年の検査では大丈夫だったのよー!去年見つかっていたら、がんはもっと小さくて済んだのにー!」と、ちょっと怒っていたのですが。なんてことはない、私の便の提出方法が不適切だったんだなぁ…と今更ながら。

 

ですので、もし私のように「便の表面ではなく、中味のほうまでまんべんなく」こすりとっている派の人がいらっしゃいましたら、それはダメよ!ということを肝に銘じていただければと。

 

せっかくの検査も、正しく受けないと意味がないですからね。

 

あともう一つ、健康診断がらみで言うと、万が一「要精密検査」「D判定」が送られてきたら…当たり前ですけど、それを受け取った時点でもう、近くのクリニックなどに予約の電話入れてくださいね。本当にね、一刻を争う場合もありますからね。痛くもかゆくもないから、まぁ、仕事が落ち着いたころに精密検査すればいいや…っていうのは絶対ダメですよ!

 

私は、検査結果を職場で受け取ったその日に、職場からスマホでクリニックを予約しましたよ。それでも、おしりカメラの予約が取れたのは数週間先ですよ。さらにポリープをとったりした場合は、それが悪性かどうかの病理検査の結果が出るまでそこから1週間待つし、悪性だったとして、手術するための病院のアポとって…などとやっていたら、どんどん時間が経過し、どんどんがんが育っちゃいますよ…。

 

なので、スタートが肝心です。

要精密検査なんて文字を見ると怖くなっちゃうと思うけれど、それを放置しておくほうがよっぽど怖いですよ。手遅れになっちゃったら嫌ですよ。

 

私は、このブログを読んでくれている大切な友達・読者の皆さんが、少しでも健康に不安のない楽しい人生を送ってもらうことが願いです。だから、こうして書いているんです。

 

皆さんの大切な人にも、ぜひ、このことをお伝えくださいね。

 

そして、職場の健康診断の機会がない主婦や自営業、フリーランスの皆さんは、市販のキットで良いのでぜひ便潜血検査を受けてください。おしりカメラは、そのあとでいいから。まずは、下剤もスケジューリングも必要のない、簡単お手軽な便潜血検査から!

 

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運営者:カロリーナ

初出掲載:2019年4月15日

人工肛門って何?~直腸がんからの「人工肛門(ストーマ)」オストメイトになる

人工肛門」とは何か?

人工的に肛門を作るの?どういうこと?

っていうか、その言葉自体、わたしはがんになるまでよく知らなかった…

ときどき、「だれでもトイレ」で見かける「オストメイト」の文字も、何のことかあまりわかっていなかった。

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それが、直腸がんになって、いきなり自分事になったから驚きであります。おかげで、人工肛門のこと、かなり詳しくなりました。ですので、まだご存じない方のために、ここで人工肛門についてご紹介したいと思います。

 

人工の肛門、と聞くと、

お尻の穴にプラスチックか何か人工的なものを付け、スイッチか何かで排便をコントロールするもの?みたいなイメージありません?

だって、人工だし。何かロボット的なことを想像してしまうのは私だけ?

 

ところが、改めて言葉の意味を調べると、人工とは「人の手を加えて作ること」

どこにもロボット的な意味はありませんでした(笑)

 

と言うことで人工肛門とは。

本当の肛門が機能しない・または使えない状況の身体になったとき、排泄物をどこから出すの?という話になるわけですが、その出どころとして、なんと、腸が使われるのです!

 

つまり人工肛門とは、

「自分の腸をへその脇から体外に出し、腸の切り口から排泄させる」仕組みのことを言います。(これは私の体験から私が作文したものなので、医学的な説明とはちょっと違うかも知れません。悪しからず)

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本当にびっくりしたのは、自分のナマの腸が身体の外に顔を出すという状態!

これまで体内で粛々と消化活動にいそしんでいた腸が、いきなり日の目を見るというか。外の世界に引っ張り出され、排泄担当になるという…

これは結構、かなり衝撃でした。人体の不思議。体ってすごい!

 

その様子たるや、まさに、へその隣に突如現れた赤い丸。梅干しと表現されることが多いようですが、梅干しにしては着色料がきつい(笑)赤いやつ。腸ってこんな色なんですね…当然ですが初めて見た。

 

そして、腸の穴から、お通じが脈々と排出されるんですよ。穴は小さいから、少しずつ少しずつ、ニョロニョロという感じで。大腸を通過しない排泄物は、色も匂いも、普通のソレとはずいぶん違って。例えるなら赤ちゃんのソレのような感じでしょうか。そしてそれは、自分の意思とは無関係に、食べて、消化が終わって、そこまで到達したときに自動的に出てくる。本当にコントロール不能な排泄現象なのであります。

 

さて、それを受け止めるのがパウチと呼ばれる「袋」です。梅干しのような腸(直径2センチくらいかな)をすっぽりと覆い、かつ、肌に密着させ貼り付ける袋を身体に取り付けます。袋は非常に高性能で、匂わないし、漏れないし、お風呂に入っても大丈夫な強度!ただし、貼り付け方が甘かったり、強い力で押しつぶしたりすると、もちろんはがれたり破れたりはするかも…。

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ですので、手術後にいちばん力を入れたと言っても過言ではないのが、パウチ交換の練習でした。このために、直腸がんでストーマ造設をした患者は、そうでない大腸がんの患者より1週間ほど長く入院期間をとるわけです。看護師さんによる最終テストに合格するまで(笑)交換練習を重ねます。

 

古いパウチをはがして、ストーマを洗って、新しいパウチを付けて…って文字で書くとそれだけなんですけどね。これが6ステップくらいの工程があって結構面倒くさいのですよ。「面板」と「パウチ」を「練り状の皮膚保護剤」を使って皮膚に密着させ…ってね。ただ単に袋をかぶせればいいってものではないんです。

 

有明ではまずパウチ交換のやり方をビデオを見て学ぶんだけど、正直、これ私できるかしら…と思うくらいに煩雑。でも看護師さんに「どんなおじいちゃんでも自分で出来るようになってますから大丈夫です!!」と言われ、そ、そうですか…と。頑張りました。(ときどき、奥様に交換をさせているといった患者様もおられるようですが、これは、自分で出来ないと災害時や緊急時にひとりになったときに非常に困ると思います。なので、どんなおじいちゃんでも、ひとりで出来るようになる必要があるのです!)

 

パウチ交換は、週2~3回のペースでおこないます。その間、寝ても醒めても、パウチの中にお通じが溜まっていき、溜まるたびにトイレに捨てるということをするわけです。当たり前ですが、皆さんが通常やっている「トイレに座ってお尻の穴から排便する」、ということはストーマの人はしません。その代わりに、袋の中身を捨てるんです。捨てるときは座って捨てるのですがね。本当は立って、腰の位置にトイレがあるほうがやりやすい。

 

ということで、オストメイト用のトイレと言うものが存在するんですね。

このマーク、見たことがあると思います。これこそが、人工肛門の人(オストメイトと呼びます)向けの排泄所がついているトイレなんです。

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洗面所の大きいやつが個室にありまして。立ったままパウチを開いてここにお通じを捨てて、水洗ボタンを押して流す。これは本当にやりやすくて便利!私は、駅やデパートなどでオストメイト用のトイレを見つけては喜んで入っていました。

(写真は、お世話になっている車のディーラーさんのトイレ。とても綺麗なうえに、オストメイト仕様になっていて感動した…)

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ところで私は、見た目は単なるアラフィフ女なので(笑)、だれでもトイレに入るのはちょっと抵抗はあります。妊婦にも見えないし子連れでもないし、どこにも障害があるように見えない。でも、そういう人でもオストメイトなんですよね…

見た目ではわからない障害がある、という当たり前のことに、自分がなって初めて気付かされました。

(ちなみに、永久人工肛門の方は、障害者手帳が発行されます。私は一時的ストーマなのでそうではないのですが)

 

このように、トイレ問題は思ったより不便ではなくて、慣れれば平気でした。タイミングよくトイレに行くだけですから、数時間もトイレに入れないような状況さえ避ければ(登山とか高速道路の渋滞など)たいがいのお出かけも大丈夫です。

 

恐れていたのは、食べ物が詰まって便が出なくなること。ストーマでの排泄は、食べたものによって、お通じの形状や匂いがダイレクトに影響を受けます。こんにゃくとか、青菜、海藻など、形がそのまま出てくるような食材は食べすぎ注意。アルコールを飲むとゆるくなる、ニンニクやニラは当然だけど匂いが強くなる…などなど。コツをつかめば、そのあたりの食べ物コントロールは可能なので、幸い私は詰まることはありませんでした。

 

あとは服装問題。へその横に常に袋をつけている「有袋類」なため(笑)、袋を圧迫しないような服が求められます。たとえば、へその下で履くローライズのジーンズなんかはOK。服で袋を隠したいので、丈長めのトップスは必須。なので、普段はあまり着ないチュニック+レギンスという組み合わせを取り入れてみました。退院後すぐは買い物にもあまりいけないので、DoClasseの通販が大活躍でした。

買い物に行けるようになってからは、無印とかHeart Marketというプチプラのお店でこんなコーデを買ったりしました。

 

 

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ストーマパウチ(袋)の可愛いカバーなんてのもあるんです。これもネットで見つけて買いました。こういうの付けると、気分が上がります♪

 


 

ちなみにストーマの写真はもちろん撮ってあるけど、ちょっとブログに掲載するには刺激が強すぎると思うので…気になる方は画像検索などでお探しくださいね。

 

また、この本には大変お世話になりました。快適ストーマ生活とは、なんとわかりやすくいいタイトル!イラスト満載で楽しい一冊です。

 

 

 

なお、専門家によるより詳しくわかりやすい解説は、がん研有明病院の専用ページをぜひご覧ください。さすがによくまとめていただいています。

ストーマ(人工肛門)について|WOC支援室|がん研有明病院

 

このほか、ストーマと温泉の話とか、まだまだ語りたいことはありますが…

人工肛門とは何か。おわかりいただけましたら幸いです。



がんの免疫療法でノーベル賞受賞の本庶佑京大特別教授の講演会にて思うこと

朝日新聞は購読していないし、ときどきウェブ版で記事数限定のモードで読ませていただく程度なのですが、そんな私にも講演会情報がメールで送られてきました。朝日賞創設90周年記念講演会で、がんの免疫療法の発見でノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生が登壇されると。

 

今の私は、がんというキーワードには敏感に反応するので(笑)、抽選で600名とのことだけど、土曜日の午後だし、申し込んでみたら見事当選案内のメールが。ということで、本庶先生のお話を生で聞いてまいりました。

 

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会場の有楽町朝日ホールは有楽町ルミネの中にあって超便利ね。開始10分前に入ったけど、さすがにほぼ満席。それでも前のほうの席がちらほら空いていたので、私は高校生らしき少年2人組の隣に座った。そうか今日は高校生も来るような会なのか!とびっくり。そして彼らが非常に熱心にメモを取りながら聞いていることにもびっくり。歳の頃はうちの長男と変わらないのに、かたやサッカー部員、かたや京大・ノーベル賞に興味があるとは…。子供も興味がいろいろだなぁ、とまずそんなことを思ってしまう。

 

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  本編に先立ち、主催の朝日新聞社社長から、朝日賞についての紹介があった。なんとこれまで過去に26名の朝日賞受賞者がいるそうだが、そのうち16名がその何年も後にノーベル賞を受賞していると言うからすごい!もちろん本庶先生もその1人。すごいのは朝日賞が受賞されてから10年後20年後とかにノーベル賞を取ると言うこと。科学の世界、研究の世界は本当に長丁場なのだなぁと。

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そしていよいよ本編、本庶先生の講演だ。背筋がしゃんとしてクールな印象の先生。ほとんど前置きなし、時候の挨拶などなしの、いきなりとも思える講演のスタートに少々びっくりしたけれど(笑) そういえば以前、理系の男友達が言っていた。理系の人ってメールを書くにしても用件だけを淡々と伝える方が得意で、前置きとかクッション言葉とかを書くのが苦手なんだよね~、と言っていたことを思い出した。まさに本庶先生の講演スタイルはそういう感じで、無駄を省いたクールでシャープな話しぶり。それがとても素敵で、私は特に周りに文系の友達が多いし、こういう理系の講演を聞く機会も少ないので、なんというか新鮮で!そんな本庶先生に心底しびれました♪

 

さて印象はさておき、講演本編の内容は、おもに免疫療法がどのようにして見つかり、それから20数年を経てようやく実用化に至った経緯、そしてそのメカニズムを、専門的な内容を含めて詳しく話してくださった。化学式みたいなスライドもいくつも出てきて、その辺のことがちょっとわかりにくかったけれども、私が理解できた部分について、とても大事な話だったからここにシェアいたします。

 

◆がん細胞と言うものは、あまりに変異が多くて、とにかく絶え間なく変異している。

◆だから抗がん剤を使っても、そのうち抗がん剤に抵抗する性質に変異する。だからその抗がん剤は効かなくなる。そしてまた違う抗がん剤を使ってもやはりそれに対応する形でがん細胞が変異して、また効かなくなる。

◆免疫療法の特徴として、

・1つ目:正常細胞が影響を受けないので、副作用が少ないと言うメリットがある。

・2つ目:いろんな種類のがんに聞く。というのは、抗がん剤と言うのは、がんの発生場所によってかなり細かくいろいろな種類のものがあり、各種がんに共通すると言うものは少ない?んだそうだ。

・3つ目:免疫療法は効く人と効かない人がいる。その理由としては、免疫力には個人差が大きいから。たとえば風邪をひいてもすぐに治る人と重症化する人がいるのと同じように、がんに対する免疫力も人によって違うと言うこと。

・4つ目:免疫療法が効くがんは、がん細胞の変異が高頻度なものである。

ここちょっと難しかったんだけど、がんによって、変異が多いものと少ないものがあるんだそうです。多いものを、高頻度と言うようです。たとえばメラノーマ(皮膚がん)は高頻度なので効くとか。

・5つ目:抗がん剤は投与をやめると再びがんが大きくなるが、免疫療法はやめてもがんが大きくならないことがわかっている。→これすごいことですよね!!

 

※1つショッキングだったのは、がんの外科手術ではよくリンパ節を切除する(リンパ廓清)けれども、リンパ節を取りすぎると免疫療法がその後効かなくなるということがわかっているようです。本庶先生が外科の先生に何回そのことを言っても聞いてくれないんだよ~と嘆いていました(笑)。

 

◆本庶先生が考える「がん治療の未来」とは、

今以上に多くの種類のがんが免疫療法の対象になる。がんは完治を目指すというより、免疫療法をうまく使って共存していく病気になっていくだろう…とのこと。

後は、オプジーボなどの「免疫チェックポイント阻害薬」(いわゆる免疫療法で使う薬)が2024年には年間で4.5兆円規模の市場があると言うこと。→すごい金額ですね…確かにがんは2人に1人がなる時代だし、それに対する治療薬として免疫療法が発展するのは良いことで、それに対してお金を使う人が増える…と言う構造はよく理解できます。

 

◆わたしが印象的だった話

・これまではがんの研究は「発がん」の研究、つまりどうしてがんが発生するかということに対して集中していて、がんの「治療」と言うことに対してはおろそかだった、と言うこと。

・日本で見つかった免疫療法なのに、日本以外で使われている現状がある。(治験数がアメリカは日本の10倍、中国すら日本より治験数が多い)

・若手研究者の減少が止まらない。基礎研究に対する資金的な援助が日本はとても少ないから、研究者のなり手がないのだ…。

・教授という仕事は、上司もいない、忖度する相手もいない(ここで会場笑い♪)、自分で好きなことができるという点がとても良いけれど、貧しい。

→それに対し、本庶佑有志基金 http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp/contribution/nobel/ を京大内に創設し、寄付を募っているとのことでした。

ここまでが本庶先生の基調講演。約40分強のお話だったけれども、浮ついた感じが全くなく、本当に、the研究者!と言う風情で、表情も変えない無駄のない語りが心地よく聞こえたりもしました。

 

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そして後半はパネルディスカッション。

パネリストは以下の3名と、本庶先生。

・もともとNTTで物理学を研究していた山口栄一さん(京大教授)

・経済学者の上山隆大さん(内閣府総合科学技術・イノベーション会議常勤議員)

・32歳の若手にして、東京医科歯科大学アメリカ・シンシナティ小児病院で教授を務める武部 貴則さん

 

この4人で、主に研究者についての日米の差…特に経済的な面や研究の自由度などの違いについて意見を交わしました。今はこの科学の研究分野において、日本は本当に危機的な状況だそうで、科学分野での実績を表す目安になるという「論文の数」は今、中国が非常に伸びていてアメリカをそのうち上回ると予測され、今後は中国が科学大国になるだろうとおっしゃっていました。

 

日本は大企業が基礎研究から撤退した96年以降、特に物理の分野での学生が激減しているとのこと。企業の研究所に就職すれば、給料をもらいながら研究ができたけれども、今そういう就職の口も少なくなったから、とにかく研究者は貧しいと言うイメージで、学生も来ないと言うことらしいです…。良くないね、この流れ…。

 

アメリカでは今、物理分野からライフサイエンスの分野に研究目的が完全にシフトしていて、それと言うのは、この分野が大きなお金を生むからだそうです。さすがアメリカな発想だなぁと。アメリカでは例えば、UBERが40,000,000円の基礎研究費用を計上し研究をしているとか。畑違いのベンチャー企業が大金を使って研究に当てていると言うこの状況は、ほかでもない将来の収入を見込んでのことのようです。なるほどですね。お金を生む分野に投資する。確かにそれがお金の正しい使い方ですよね。

 

ところが日本の場合は企業の内部留保でお金を貯めこみ、研究費としてお金を使おうとしない。それは本当にもったいないし、だからどんどん外国に負けていくと言う話でした。研究の世界は成果が出るまでに長い年月がかかるし、それが実用化されるかどうかの確実さもない、いわば、どれだけリスクを取れるかどうか…ということが決め手となるようです。だから若手研究者たちがリスクを取れるようにするには、制度的にどうするのが良いかを国としても考えなければならないと言う事だそうです。

 

この話の流れで1つ面白かったのは、シンシナティでの経験を披露してくださった若手の武部先生の話。アメリカでは、研究費を集めるために、研究者と一般の人たちとの接点をもっと密にして、両者がコミニュケーションを図ることが大事!と言うことでした。つまり研究の意義を研究者が積極的に一般に向けて語ることで、出資者の共感を得る=研究費が集まる…。その流れこそが非常に意味があると。シンシナティでは、富裕層の人たちと科学者がディナーをして語り合い、そこでお金を集めるということを実際にしているそうです。

 

このことは非常に納得しましたね。日頃、普通に生活している私たちにとって、日本の研究費がそんなに少ないこととか、日本がその分野で立ち遅れているとか、研究にどれだけのお金がかかるのかとか全く意識することもないし聞く機会もないし、正直全然気にしていません。でも研究成果は最終的には自分たちの病気の治療といったところに関わってくる。がんだけじゃなくて、いろいろな医療分野でまだまだできる事はたくさんあると思う。その具体的な研究内容を私たちがわかる言葉で説明してもらえたら、誰しも応援したくなる!と言うのが人情ではないでしょうか。

 

だからその視点、つまりは科学者と一般の間のコミニュケーションを密に!と言う視点は非常に私は気に入りました。私ももっと、いろんな研究の話を聞いてみたいよ!(そのかわり、文系人間にもわかるようなコトバでね♪)

 

そして最後。質疑応答では主に高校生からの質問を積極的に受け付けてくれました。これはすごくよかった。3名の高校生から、素晴らしい質問が飛び出しましたよ。

 

◆Q1:大学で研究をしたいと思っているけれども、どういう研究をしたらいいかまだ全然わからない。先生はどうやって決めましたか?

→常に「自分が本当にやりたいのは何か」を考えながら過ごすこと。

 

◆Q2:医療で寿命を延ばすということに、先生はどうお考えですか?というのも祖母が抗がん剤の副作用でとても辛い思いをしていまして…。

→心配いりませんよ、人間は必ず死にます。だから自分はどういう死に方をしたいか。それを若い時から考えることこそ大事です。寿命は限られているし、だからこそ医療の本当の使命は予防すること。病気のほとんどは「治る」もので「治す」ものじゃない。医師はその「治る力」を邪魔しないことが大切。そして医学は未発達でわからないことがまだまだいっぱいあるのです。

 

◆Q3.自分は地学の基礎研究をやりたいと思っているが、それはあまり人の役に立ちそうなものではない。そういう基礎研究を目指す学生へのメッセージをお願いします。

→とにかく良い先生を選ぶこと。日本中、いや世界中探してでも。自分の大学の先生じゃなくてもいいから、いい先生を選ぶことです。

 

うーん。高校生のまっすぐな質問、とてもいいですよね。そして本庶先生はそれぞれに即答されていて、さすがだなぁと。

 

本庶先生からは、司会者から最後に高校生へのメッセージをお願いします、と振られ、

 

◆自分の頭でものを考えること。先生の言うことばかりを聞かない。先生に「それは違うんじゃないですか」と言う位じゃないと、先生の事は超えられませんよ。そして、きちんと人と議論をすること。喧嘩を口でやる、ディベートでやること。そういう文化が育つことが日本のあらゆるセクターで必要だと感じています。

 

…と締めくくられました。

 

前半の専門的な免疫療法の話ももちろん良かったけれど、科学者としての先生の思いとか、日本の問題とか、これまでなんとなく伝え聞いていた研究費不足・大学教授は貧しいと言う話は非常によく理解できました。

 

結局日本はこのことに対してどんなふうに対応しようと思っているんでしょう。国も企業も、そして学生たちも、どんなふうに思っているんでしょうね。いろいろ聞いていて、優秀な日本の頭脳がどんどんアメリカなどの国外に流出してしまうのね、とストンと納得できました。でも、それでいいのかなぁ。わたしは今までこのことをそれほど真剣に考えたことがなかったから、自分なりの考えなどというものにはまだ至ってないけれど。一つ言えることは、思い切り研究をやってみたいと思っている若い学生さんが、自分の国・日本でそれを叶えられないのは、もったいないことだと思うのです。海外に出るのはお金もかかるしね。日本にだって設備があり指導者がいるのであれば、あとは研究費用さえなんとかなればいいんでしょう?ここはやはり、ZOZOの社長とか孫さんとかに、もっともっと研究費をお願いするのが良いのかしら?

 

私は自分ががんになったから、こういうネタに対するアンテナが立って今回聞きに来たけれど、そうでなければ自分はここにはいなかったと思います。そして、このようなことを考えるきっかけもなかった。と言うか、普通に考えて、ノーベル賞受賞者のお話を直に伺える機会はそうそうないですよね。貴重な時間だったなぁ…と振り返りを書いて、いま改めてこの経験に感謝をしています。

 

本庶先生が語る「がんの未来」が現実となり、がんとの共存が(苦しくなく)出来るようなりますよう…

 

研究者の方々にはこれからもよろしくお願いします、と申し上げたいです。

 

そして富裕者の方々には、研究者の方々への支援をよろしくお願いします、とがんサバイバーの一人として申し上げたいです。

 

最後にリンクもう一回貼っておく(笑)

www.kikin.kyoto-u.ac.jp

 http://www.kikin.kyoto-u.ac.jp/contribution/nobel/ 

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がん研有明病院のクラウドファンディングによる素敵な中庭

今日は術後6ヶ月の検査のため、久しぶりに有明に来ています。ビッグサイトに向かう人に混じり、午後3時過ぎ、国際展示場駅からテクテク歩いて病院へ。この季節は初めてなので、少し楽しみ!


そう、私の楽しみは、病院5階にある中庭を巡ること。入院中、歩数を稼ぎ、運動するために毎日歩いた中庭は、窓辺と並ぶ私のお気に入りスポットです。

 

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綺麗に手入れされた花壇に、コンテナの寄せ植え。真夏の暑さに負けそうになってたお花だけど、スプリンクラーに加え水やりをしている職員さんの姿を見て、すごいなあ、お手入れちゃんとしてくれているんだ!と感動したものです。


さてこの中庭、ずっと前からあったと思いきや、

私が入院していた8月のほんの数ヶ月前にリニューアル工事が完成したんだそうです。


夏のある日、私がいつものように中庭をブラブラしていると、病院の事務の男の人がいらしたので、庭が素敵で癒されていますよ!とお声をかけてみました。するとその事務長さんは、ここができた経緯を私に話してくださいました。元々はそれほど手入れされていなかった普通の中庭だったんだけれども、クラウドファンディングで庭作りをやりたいと寄付を募ったら、多くの方が賛同され、今のこの姿にリニューアルされたそうです。確か700万円ぐらい集まったとおっしゃっていました。

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庭園いろどりプロジェクト と言うそうです。案内のポスターが新たに貼られていて、それもまた素敵でした。

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そんな出来立てホヤホヤの中庭をタイミングよく利用させていただくことができ、本当に良かった。癒しの場所でした。


そして今日久しぶりに訪れてみると、春の花に植え替えられていました。可愛いカラフルなポピーの花が、一番大きなメインの寄せ植えの鉢に咲いていました。秋にはコスモスが揺れていたところも、ピンク系の可愛い花に生まれ変わっていました。

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オリーブの木は青空に向かって成長しているみたいで、中庭のシンボルツリーとしての風格が増してきたようにも見えました!

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夏はちょっと元気がなかったローズマリーもスクスクと伸びて、緑鮮やかに、そしてフレッシュな香りも健在でした。


ここにいると花に癒され青空に癒され、本当に言い古された言葉ですけども、入院生活のオアシスと呼べる場所でした。こういう環境づくりってとても大事だなぁと思います。どこの病院でもある訳ではないと思うので、その辺りもこの病院を選んでよかったなと思うところです。

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さて久しぶりのCT検査は…あっという間に終わりです。バンザイして横になり、輪切り撮影の機械に二度ほど入ります。そして今度は左腕の静脈から造影剤なるものを体内に入れ、体がじわーんと熱くなり、また機械の中に。ものの5分ちょいでおしまいです。

 

これで全身を輪切り状態に撮影し、がんが転移しているかどうかを見るのだと思います。

転移か…あったらやだなぁ。

 

普段はとても元気で、トイレ問題以外はすこぶる快調な私。がんだと言うことを忘れるほどに元気ですが、ここに来るとやはり…ね。ぐっと患者モードに引き戻されますね…。

油断しちゃダメよ、わたし。

そんな声も、ここに来ると、自分の中から聴こえてくるのです…。

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大腸がんの治療について:私の場合、腹腔鏡手術+一時的人工肛門でした

がんと一口に言いましても、それが身体のどこに宿るかで呼び方も変わるんですね。わたしの大腸がんのように、臓器名+がんといったわかりやすいものから、池江璃花子選手が闘っている白血病は血液の「がん」ですし、脳腫瘍も脳にできた「がん」ですよね。そう思うと、がんというのは、ずいぶんバリエーション豊かな病気のように思えます。

 

共通している特徴は、

・がん細胞というものはいつまでも増え続ける

・発生した部位から、別の場所に転移できる

ということだそうです。なるほどですね…。それ自体はシンプルといえばシンプル。

 

ただ。

がん細胞が身体のどこに発生するのか。

そのがん細胞の性質(顔つき、とか言いますね)はどういうタイプなのか(おだやかなのか、悪質なのか…等々)。

がん細胞が発育してカタチになったとき、身体のどこまで深く入り込むか(浸潤:しんじゅん と言います)。

 

このへんはもう、完全に個人差の世界なので、私のがんは私のがん。堀ちえみさんのがんは堀ちえみさんのがん。私と堀ちえみさんは別人であるのと同様、がんも、ひとつひとつ違うんですよね。まぁ、人間ひとりひとり全員違うひとなんだから、そこに棲むがんがひとつひとつ違うのは、当たり前と言えば当たり前…。

 

ですので、誰かと比べたり、パターンに当てはめて思い込んだりするのは良くないな、と思います。すい臓がんだから難しそう、大腸がんは治りやすそう、とか言うのも全然見当違いです。本当に一人一人違うんです。

 

そのことをまず前提としてわかっていただいた上で、私が受けた大腸がんの治療法について読んでいただきたいと思います。

 

医師でも看護師でも専門家でもない私ですが、がんと知った7月末以降、8月の手術、そして11月の手術に至るまでのほぼ3か月は、ずーっと頭の中は「がん一色」で。とにかく参考文献を読みまくり、ネットでも調べまくり、主治医の先生にも質問しまくりました。おかげさまで有明病院には素晴らしい資料コーナーがあり、結構な専門書も置かれていましてね。元記者としては、資料読み込みが楽しくて!

いや、それが自分自身のことなので、楽しいだけではなかったのも事実ですが…(中には厳しい予後などが書かれており。読んでて辛くなる本もあるからね)

 

ちなみに、気に入って購入した参考文献たちは以下の通りです。


がん研が作ったがんが分かる本新装版 初歩から最先端、そして代替医療まで [ ロハスメディア ]

大腸がん (よくわかる最新医学シリーズ) [ 福長洋介 ]


がんを告知されたら読む本専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい”がん”の話【電子書籍】[ 谷川啓司 ]

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手術日までに患者が知りたい大腸癌 検査から治療,術後経過,手術費用まで/腹腔鏡下手術 (わかりやすいインフォームドコンセントシリーズ) [ 市原隆夫 ]

特に役立ったのは、「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン」。これは本当にわかりやすかった。決定版とも言えるでしょう。

 
患者さんのための大腸癌治療ガイドライン 2014年版

 

前置きが長くなりました。

 

まずは大腸がんという臓器について。

大腸は、食べたものを消化・吸収し、最後に排泄するという機能を担う「消化管」の最後尾にある臓器です。つまり、肛門のすぐそこが、大腸の最後。

消化管全体は約10メートルもあるそうで、大腸と呼ばれる部分は約1.5メートル。小腸に続いて「盲腸」「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S状結腸」「直腸」というパートに分かれています。もう私は見飽きたけど(笑)図にするとこんな感じです。

 

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さて、がんの治療には大きく2つのカテゴリがあります。

1.標準治療

2.代替療法

 

1は、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療」のことで、

多くの病院では、「治療ガイドライン」に沿った標準治療が行われています。

 

2.は、最先端医療(まだ有効性がはっきり確認されていないものも含まれますね)や、温熱療法や食事療法など、標準治療とされているもの以外の治療法を指すようです。

 

一般的には、がんの治療のための病院にかかると、そのガイドラインに沿った形で、がんのステージに応じて、全国どこでも共通化された標準治療を示されると思います。

ちなみに、がんの3大治療と言う言葉もあって、

1.手術による切除

2.化学療法(抗がん剤

3.放射線療法

が挙げられます。

それこそ千差万別ながんの状態により、どの治療法にするかを医師は判断するわけですね。

 

私の場合は、がんの浸潤(腸の壁にどこまで深く達しているか)が筋層で、リンパ節転移が見られないことから「ステージ1」と診断されたので、1.手術による切除 となりました。

(ちなみに、手術してみたら実はステージ2だった…などと、上がることはあります。ステージは0~4まであり、4が最も進行している状態。)

 

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大腸がんの場合、がんの切除も大きく2タイプあって、

1.内視鏡手術(おしりカメラを入れつつ切り取る方法:お腹は切らない)⇒消化器内科が担当

2.外科手術⇒消化器外科が担当

 

内視鏡なら体への負担は一番少ないので、これで切除できるに越したことはないのですが、私の場合は内視鏡で切り取れるほど浅いがんではなかった。そこそこ深く根付いていたので、外科手術となったわけです。

 

その話はこの記事を参照ください。

c-calorina.hatenadiary.jp

 

そして外科手術にも3タイプありまして、

1.開腹手術:お腹を切り開き、医師の目で直接見て、手で手術する

2.腹腔鏡(ふくくうきょう)手術:炭酸ガスでおなかを膨らませ、お腹に数か所小さな穴をあけて、そこから器具やカメラを体内に入れて、モニタを見ながら手術する

3.ロボット手術:上記のことをロボット(ダヴィンチ)が行う。まさにブラックペアンの世界!

 

わたしは今回2.の腹腔鏡となりました。

腹腔鏡は、がんをカメラで拡大してよくよく見ることが出来たり、出血量が少なく済んだり、傷が小さく術後の痛みが少なかったり、開腹よりも術後の回復が早かったり、術後の癒着や腸閉そくが少ない…といったさまざまなメリットがあります。昔は開腹するしかなかったけれど、いまは技術の進歩で、腹腔鏡が主流だそうで。ありがたい話です。

デメリットとしては、開腹より時間がかかること。高度な技術を要すること。

わたしの手術は約4時間半かかりました。

 

ところで、

 

わたしのがんは、「直腸」に宿っていたので、大腸がんの中でも特に「直腸がん」と言われます。大腸がんのうち、約4割が直腸がんだそうです。結構多いですよね。

 

この直腸の周りには、排便や排尿、性機能を支配する交感神経・副交感神経のネットワークがあるそうで、非常にデリケート。だから直腸の手術は、大腸がんのなかでも難しいんだとか…。

 

そして、直腸のどのあたりにがんが出来ているか。これもかなり重要なポイントになります。手短に言うと、「永久人工肛門になるかどうか」の分かれ道が、肛門からがんまでの距離、と言えます。

 

私の場合、先生が触診できるくらいの近距離にがんがあったことは確かなのですが、5センチくらいは距離があったらしいので、ギリギリ、肛門は切り取らずに済みそうだ、肛門は温存できそうだ、ということでした。

 

ちなみに内田春菊さんの場合は、直腸からの距離が2~3センチと非常に近かったため、肛門温存が難しく…永久人工肛門を造設されました。

 

 通常、がんの前後10センチずつくらい、計20センチ程度の大腸を切除するんだそうで。私の場合は、ほんの数センチは直腸を残してがんを切除し、肛門ぎりぎりのところで縫い合わせました。その縫い目の部分がくっついて治るまでの約3か月は、何者も通してはならぬ!ということで、一時的に人工肛門を造設したのでした。

 

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で、人工肛門っていったい何? 

造設ってどういうこと?

と言うことですが…私も今までの人生で一度も見たことも聞いたこともなく、結構衝撃的なものでした。これについてはまた長い話になりますので、次回へ。

 

内田春菊さんのケースは、こちらの記事が写真満載でとてもわかりやすく、おすすめです。わたしも手術前、こちらを拝読し、春菊さん素敵…と思ったことを思い出します。

bunshun.jp

 

まとめますと、わたしの病状と手術とは、

 

・腫瘍の位置:直腸

・腫瘍の深さ:筋層

・転移:なし

・癌の進行度(Stage):Stage1

・予定手術術式:腹腔鏡下超低位前方切除、人工肛門

 

これらのことは、手術前日に、個室で医師から詳しく説明された内容です。本当にわかりやすかったし、事前に各種参考文献を読み込んでいたから、ああ、私はこのパターンなんだね!と納得できました。

 

事前の放射線治療が必要な場合もあるけど、わたしはそれは必要なかったです。事前検査の結果によっては、必要かも知れなかったので、一時期非常に動揺しましたが…。

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患者は、できるだけこのように、自分が受けるであろう治療について、事前の知識を仕入れておくと良いと思います。そうすると、医師からの説明を聞いても、納得度が高まります。いまの標準治療にはどんな方法があって、自分の状態ならこうかな… 化学療法の可能性もあるかな…などと、患者本人も学んでおくに越したことはありません。

 

知識があれば、もし先生の推奨する治療方針に疑問を抱いたとしても、自分の考えを根拠を持って伝えられると思いますし。ガイドラインに書いてあったあの方法は私にはどうなんですか?とかね…。

 

がんと言われたら、怖くて、調べものどころではないかも知れません。が、知らないことが実は一番怖いことだと思っています。自分の状態を知り、それに対してどのような対処法があるかを知れば、納得し、落ち着いて治療を受けられると思います。知らなかった!じゃ済まされないですよね。自分の身体のことですから。知ってあげないと!

入院5日目:手術翌日。歩くことさえできない屈辱感

2018年8月21日(火)

 

手術翌日の朝の様子は、記録がないから思い出して書いている。体中にいろんな管がついていて、鼻には酸素、左腕には点滴。身動きがとれず、本当に寝たきりとはこのことで。さすがに出産時もここまで寝たきりにはならなかったよね…。よって、生まれて初めての経験をしている。文字を書く、スマホを見る、パソコンを立ち上げるなどもってのほかである。そんな気力なんて、ない。

 

本当に。おとといまで元気いっぱいだった人間が、全身麻酔で臓器を取ると、こんなにも弱るものかと。我ながらびっくり。いや、もう、自分が一番びっくりしているよ。

 

この日のことは、病院が作成した毎日のやることリスト「患者様用クリニカルパス」を見て思い出している。このクリニカルパスというものは、入院中いちばんよく見ていた資料だ。患者の時間割であり、これさえあれば今日一日の流れが予測でき、安心できる。

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朝、ポータブル式のレントゲン機械が部屋にやってきて、ベッドの上でレントゲンを撮ってくれた。同室の人はその間、廊下に出されていた。血液検査のための採血もあった。

 

酸素吸入の管が鼻に入っていたけど、朝になって抜いてくれた。酸素があると呼吸が少し楽で、安心な感じだったけど、抜かれても別に問題なかったので、ひとつチューブフリーになれて楽になった。

 

術後から続いている「痰のつまり」は、まだ続く。痰は飲みこまずになるべく吐き出すというけれど、吐き出すときお腹に力が入って、切ったところが痛いのだよね…。強く力を入れられない。痰が自力で出しにくいということも、自分がこんなに弱ってしまったのか~と情けなく感じるポイントである。時々、看護師さんに水を持ってきてもらって、うがいをした。まだ水を飲んではいけなかったので、うがいだけ。それでも口の渇きもいやされ、だいぶ、ラク

 

そしてこの日、待望のジュースである。朝食にりんごジュース。

なんせ丸2日食べてなくて、水も飲めなくて。だからこのジュースはもう…ありがたかった~

でもほんの一口よ。しかも、恐る恐る口をつけた。なんとなくね、胃腸が久しぶりに働くわけだから、びっくりするといけないよね、なんて思いながら。まぁ、言ってもほんの50ccくらいの量なんだけど、何回にもわけて、大事に大事にいただいた。

 

午前中、看護師さんが身体を拭いてくれた。ベッドに横になったまま、わたしは身体を横に傾けるだけ。まさに介護されている感じ。誰かに全身をあずける、と言う状態が手術後続いていて、それは慣れないことだから私にとっては決して居心地がいいことでなないけれど。ひたすら、すいませんねぇ…という感情だ。

歯磨きは自分でした。これもベッドでね。水をビニール袋で受け止めてもらって。

これはかなりスッキリさっぱり、気持ちよかった。お口の清潔、大事!

 

そして午後、夫と母と次男が来てくれた。まだまだ弱々しい状態の私だから、顔見せするのもなんだか…という感じなのだけれども、やっぱり来てもらえると嬉しい♪

 

しかし、この後、ますます情けない現象が私を襲う…。

 

看護師さんが来て、じゃあちょっと立ち上がって歩いてみましょうか!と言う。正直、まだ目もうつろで、だるさマックスで、こんな状態であるけるのか???と疑問だったわたしだけれど、やってみないことにはわからない!

というわけで、看護師さんのガイドのもと、まずはベッドのふちに座ってみた。

座れたけど…

なんかちょっと気分が…。ぐるぐるする感じがありますが…。

こんなもんなのかな?

 

と思って、看護師さんの支えのもと、立ち上がってみることにした。

 

…と。

気分の悪さは一気にアップ!

吐き気も感じるよ!

でもとりあえず頑張る。

その場でまずは足踏みを、と言われ、足踏みするも、

なんだか脂汗が湧き出てきた…

こ、こわい。なんなのわたしのこのカラダ!!!

 

顔色もかなり悪かったんだろうな。看護師さんはそんな様子を察知して、今日は無理しないで横になりましょう!とすぐに足踏みをやめさせ、ベッドにと戻らせてくれた。

 

なんてこと。

わたしは、立って歩くことすらできないなんて。なんて屈辱なの!

思いがけず、涙が出た。あまりの情けなさに、涙が出た。

 

その様子を夫たちも見ていたから、なんて可哀そうな妻に、母に、娘に見えたことであろう。

そんな風に思わせてしまったことにも情けなさがつのり、みんなが気の毒で、また涙ほろり。

 

そんなわたしに看護師さんはすかさずフォローの声をかけてくれたけどね。若い方は特に、ずっと横になって急に立ち上がったら、急激に血圧が低下して、こういう症状が出ることがあるんですよ。大丈夫ですよ、と。起立性低血圧、とか言ってたかなぁ。

 

若い方なのか?わたし?と思いつつ、そうだそうだ、この病棟では若さランキング上位なんだった、ということを思い出し、納得することにした。

 

ひとは3日にしてこんな体になるんだなぁ。

手術って。手術って。想像以上に大変だ。辛い。

こんなんでわたし、いつかは普通に生活できるようになるのかなぁ。

 

ちなみに同じ日に手術をした向かいのベッドのおばさんは、もう立って歩けている。

なんだかちょっと敗北感も覚える。

人の身体はそれぞれで、がんもそれぞれで、回復の速度もそれぞれ。なんだけど。

歩けない自分を、どうしてもひとと比較してしまう弱い自分がそこにいた。

 

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