がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母が直腸がんになった話~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴ります。

私の中にがんがいた:初めての大腸内視鏡検査の日

2018年7月20日(金)

 

人一倍、元気が取り柄な私。

 

たとえば夫は腰痛もちだったり、

長男はサッカーで腰椎分離症になり長らくリハビリに通ってたり、

次男はノロウイルスと思われる下痢症状で赤ちゃんの時に1週間もサンパウロの病院に入院したりした。

家族で私だけは元気というイメージ…

病院なんて、出産のときにお世話になった以来、本当に縁遠いところだった。

 

なのになのに。いきなり、がんとは…

そう来るか?って感じ。

いや、まだ正式に癌宣告されたわけではないけれど、ほぼほぼ、あのコブのようなものは、癌でしょうね。

病理検査の結果が出るのは1週間後だけれども、あれは、がん。きっと。間違いなく。

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昨夜は、暑さも手伝ってか、あまりよく眠れなかった。

今日のことを、なんとなく予想していたのだろうか。カラダが自然に。何かを恐れていたのだろうか。

 

検査当日。朝7時からモビプレップを飲む。2L作って、コップ2杯と水1杯を3セット。これが美味しくないこと甚だしい。ほんのり梅味なんだけど、生ぬるさも手伝って、バリウムよりはましだけれどもなかなか進まない。コップ1杯を10分から15分かけて飲む、という規定なんだけど、確かに。そのペースでしか飲めないよ…。

 

飲むほどにトイレに行きたくなる。でも、ノロの時とは違って、その瞬間におなかがキューっと痛くなる感じはない。これは良かった。7回目くらいのトイレで、目的とする黄色い水状になった。腸に何もない状態の便は、こうなるんだね…。

 

9時に病院に電話することになっていたので、9時5分に電話した。状態はすでに準備OKと言われ、じゃあ10時半から行けるかな?と思ったら12時半と告げられた。あらら、先が長いわ。早められそうだったら携帯に連絡します、と言ってくれたけど、結局電話はなかった。

 

早めに家を出て、猛暑のなか、バスで区役所へ行き、キャリコン申請のための住民票を取得するためのマイナンバーカードの暗証番号リセット手続きをした。その足で郵便局によって、簡易書留で送った。

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クリニックに着いたのは10分前くらいだったけど、そこからずいぶんと待たされた。着替え部屋に案内するとのことだったけど、12時半どころか、1時近くなっていたと思う。着替えは使い捨てのトランクス、お尻に穴が開いているもの。その上にガウンタイプの検査着を着た。そしてまた暗いソファの休憩室でしばしまたされ、ようやく検査室に呼ばれたのは1時半近かったのではないかな…。

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検査室には看護師さん二人と女医さんがいて。テキパキと指示を出す。ひざを立ててベッドに横になり、右手に鎮静剤の注射をする。少し体がふわっとするけれど、頭ははっきりしていて、カメラが始まってもしっかり意識もあり、画像も見ることが出来た。

 

ピンクの大腸の壁に、ところどころ、少し赤くなったり、白っぽくなったり、黄色っぽいできものが見える。その都度先生は、切りますねーと言って何やら器具を入れて処置している。素早い動き。そしてカメラは前に前に進み、また戻ってくる。最後のあたりで、これは取れないなぁ、と言っている先生。そうか、取れないものがあるのか…。このあたり、頭は割とボーっとしていたかもしれない。よくわかんなかった。終了を告げられ、大丈夫ですかと言われながら休憩室へ歩いて移動した。

 

そこでお水を1杯リクエストし、ぐぐっと飲んで、リクライニングシートで毛布をかけて横になった。1時間ほどお休みくださいと言われたけど、前の胃カメラの時みたいに熟睡は全然できなかった。なぜか。体はぼーっとしているけれど、眠れない、みたいな。1時間が長く感じられたなぁ。ようやく呼ばれて、着替えをするよう言われる。多少ふらふらするけれど、しっかり起きていた。

 

そして待合室で少し待っていると、名前を呼ばれ診察室へ。担当の女医、O先生から説明があった。画面を見ながら。部位の絵を描いた紙に、ここ、ここ、ここ…とマークされ、それぞれにポリープがあったから切っておきました、と言われた。画面にはその写真を写しながら。すごいですね、そんな風に切れるんですね、というと、切ったあと縫っているんですよと。びっくりですよ、ほんと!切ったポリープは5ミリくらいだそう。それが大きいのかどうかは、この時はわからなかったけれど。

 

そして画像で見せられた、明らかにほかのとは違う盛り上がり。どうみてもデカイ。デキモノの域を超えている…。腫瘍? これについて先生は、

 

「これは今日取り切れなかった。大きくて、くっついているから。入院して取らなければならない。ここでは入院できないから、大きな病院に行かないと」と言った。

 

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え、入院…?入院なんだ…?

でもせいぜい1泊2日くらいでしょ、大きなポリープ取るくらい。イマドキだから、日帰り手術じゃないの?と思ったら。

入院期間は2週間くらいだとか言う。

 

え、そんな大ごと???

 

ちょっとこの時点でびびる。

大きな病院って、どんなところですかねぇ、と聞くと。答えとしては「けいゆう」とか「みなと赤十字」あたりの近場を想定して聞いたんだけど、その答えがまたびっくりだった。

 

五反田のNTTとか。(そこまではふーん、という感じ。大きな病院なんだろうね、って感じでなんとなく納得)

有明とか築地とか。

 

へ?築地?有明???(そんな地名で言われましても)

 

築地は何ですか?と聞くと、築地のがんセンターだと…

が、がん、センター…???

ってことは先生、これはがんなんでしょうか???思わず聞く。そりゃ聞くよね。

入院先が「がん」センターって。

 

 

はいそうです、とは先生は言わないけれど、たぶんそうでしょうね、との答え。

 

 

がん、ですか。たぶん。ですか。

 

 

割とかなりびっくり。可能性はゼロではないと思ってはいたけれど、ほんとにわたし、がんなのか。

 

一瞬、思考停止してしまった私をよそに、先生は話を続ける。

 

「病院、どうしましょうねぇ。有明も症例が多いし、この病院からも何人も行っていて、悪い話は聞かないですよ。五反田も評判がいいですね。外科的に切るか、内視鏡で切るか、そのあたりも病院によって違うし。先生と合わないとかっていうのもあるし。」…と、説明してくれるも、急な展開にちょっとついていけない感、あり。

 

外科的か内視鏡かで違うんですか?とか聞いてみる。

「外科的に切ると、おなかを切るわけだから、術後が長引いて大変。状態によって、切るか内視鏡か判断されるから、今の段階ではなんとも言えないし、主治医の先生が何というか…」とのこと。

 

そうか、確かに。手術はおなかを切るんだものね。長引くよね。2週間ってそういうことか。少し頭が冷静に戻ってくる。

 

そして、

病院は別に都内でも行けますけど、近い方がいいとかあるんですかね?と聞くと。

 

「そのあとも何度も通うことになるから、あまり通いにくいと大変ですね。ご家族とも話し合って」とおっしゃる。

 

そうですね、子供二人いて、夫は単身赴任なので、2週間も家を空けるのはちょっと…というと、先生は「そうですよね」と。

 

確かに、家族会議は必要。そのとき、なんとなく、ことの重大さを実感した。そうか、もしかしたら結構これは大変やばい状態なのではないだろうか。先生もしかして、私のことかなり気の毒がってるかも???

 

でも見つかって良かったんですよね、と聞くと。

「そうですよ、今見つかって良かったですよ」と。

 

切ればいいんですよね、ほっといたら死んじゃうんですよね。と思わず聞く。

 

「そうですよ、切ればいいんです。絶対なおしましょうね!」と強く励まされる。

これって、なんかもう、がん宣告シーンですかね…?という状況。

わたしは全然取り乱したり泣いたりはしていないけれど。だって、あまりにも突然だしね。

 

 

今日の今日、この瞬間までも、なーーーんにも痛くもかゆくもないからね。

それが今日、この瞬間から、がんと言われてもね…

 

でも、本当に、今日この瞬間を迎えなければ、私の中のがんは、静かにどんどん成長していったんだろう。そして手遅れになっていくのだろう。

そう思うと、大変おそろしい。

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私の中のがんは、私に、存在を気付いてほしかったのだな、と思う。

だから、サインを出していたのだ。早く気付いてよ、って。

がんだって私の一部だから。私を壊そうだなんて、思っていないでしょうよ。できれば早く気付いて、ここから取り去って欲しいんだと思うのよ。

 

ごめんよ、実はちょっとだけ気づいていたのに、もっと早く取りに来てあげれば良かったね。

でも、今日わかったから。がんが私の中にいたこと、わかってあげたから。もう少し、手術の日まで、私の中でおとなしく我慢していておくれ…。

 

と、なぜか、私の中にいた「がん」に語りかけたい気持ちになっていた。

なんだろうな、この感覚。

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さて次なるステップは、同じクリニックで胃カメラとエコーの検査をすることだと言われた。次に行く大きな病院でもどのみち胃カメラはするし、どうせ待たされるから、ここで検査してから行きましょうと。それまでに私も病院のこと少し調べておくから、と先生。

 

なので早速、受付で胃カメラの予約を取る。前にも胃カメラの予約を取ってくれた可愛い看護婦さんだ。一番早くていつ空いてますか…と聞くと、8月までいっぱいだけれど、私の裁量で、1日だけ取れますから。次の土曜日、28日なら取れますから、と。その日は高校の同窓会が夜入っているけれど、今は胃カメラ最優先。がん最優先でしょう。もちろん予約をお願いし、お会計へと進む。

 

っていうか、看護師さんが裁量を駆使してすぐさま予約を取ってくれるってことは…やはり私の状況はあまりよろしくないんだろうか。心なしか、予約の看護師さんもお会計の看護師さんも、気の毒そうな感じで私に接してくれている、ような気がした。まだ若いのにがん…みたいな。そうだよ、私まだ50歳にもなってない。46歳なんですけど!がんと言われるにはまだ早いでしょ?ね?

 

この日のお会計は、ポリープを4つ取ったので、23000円。カード決済可能だから助かる。内視鏡検査についてはカード可能とのこと。ポリープ除去は日帰り手術の扱いになるから、保険に入っている場合は請求できますよ、と説明を受ける。そうか、そうなのか。手術したのか、私は…。

 

1週間後には、組織の病理検査の結果も出ているでしょうと。ついにがんが判明する瞬間を1週間後に迎えるわけですね。

なんだかまだまだ浮世離れした気分ですよ。朝まで普通の人だったのが、夕方にはがんの疑い濃厚な、患者になっちゃったよ…。なんなの、この変わり身の早さは。

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でも今はお腹がすいて。それが一番に来ていた。だって朝から飲まず食わずで午後3時半。

とにかく食べよう。

同じビルに入っている中華のお店で海鮮がゆ770円を食べた。ガラス越しにはみなとみらいの風景が広がる。

ここでちょっとだけ涙が出てきた。わたし、がんなのか…。がんなのか…。

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どうしよう、どうやって伝えよう。まず誰に伝えよう。ぐるぐるぐる…

ぐるぐると考えは巡っていそうで、実は頭はあまり回らない。

現実から逃げ出したい気分。

 

おかゆを食べ干したら、少し元気になって、1階のドラッグストアに立ち寄った。なんとなく気分は衝動買い。ネイルと、ヘアアクセサリー、そしてアユーラの入浴剤の小さいのを買った。プチ衝動買い。どうせ私はがんなんだし、ちょっとくらいお金使ってもいいよね。ばち当たらないよね。なんかそんな気分だった。それにしてもささやかな衝動買いだ(笑)

 

これがもっとショック大きいと、やる気なくしたり、もうどうでもいいやと思ったりするのだろうな。ザ・自暴自棄、みたいな。ちょっとはそう思ったけど(さすがにね)、そうも言っていられない。帰ってごはん作らなきゃ。なに作ろう。まだまだ暑いな…

重い足取りで、バスに乗って帰宅した。

 

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