がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母による大腸がんブログ~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴るブログです。

入院10日目:術後6日目 ストーマパウチの交換練習と、北海道の母や仙台の夫としばしのお別れ

2019年8月26日(日)

 

5時10分に起床。朝陽には少し遅かった…すでに太陽はギラギラしていた。

ぐるりと病棟の窓際を歩いて、写真を撮った。

f:id:calorina:20190414231210j:plain

f:id:calorina:20190414231216j:plain

f:id:calorina:20190414231220j:plain




そういえば、病院の前にそびえる建設中のタワーマンション、なんていう物件名なのだろう?と、この日ふと知りたくなって検索してみた。シティタワーズ東京ベイ、という住友不動産の3棟建て、32階の高さがあることを知った。調べれば調べるほど素敵な物件だ。新橋や虎ノ門勤めにはぴったりな距離感の、理想的なロケーションかも!と思ったり。都心なんだけど、海がすぐそこで、しかもこの朝陽だよ…。この病院に通うにも近いしね♪

f:id:calorina:20190414231241j:plain

 

ずっと37度が続いていた体温が、今日は36.5度まで下がっていた。平熱はもともと低くて35度台が普通だったから、これでも高いほうだけど、37度に比べたらずいぶん身体が楽な気がする。

 

体重測定をします、と館内放送が入り、歩ける人はみんな体重計のあるところに集合した。学校みたいに一列に並んで、体重計に乗った。手術前よりも5キロくらい軽い。これしか食べてないんだから、もっと減っても良さそうなものだが…。

 

10時過ぎ、シャワーを浴びていたら、妹と母と次男のトリオと、今日は妹のダンナも来てくれた。日曜日だものねぇ。そして母とはここでサヨナラだ。これから午後の便で北海道に帰るのだ。

f:id:calorina:20190414231302j:plain



この1週間、みんなが毎日来てくれたから、楽しく乗り切れたと思う。このタイミングでがんになったことに感謝したい。

 

何より、がんになったのが、私で良かったと心から思う。

これが、母だったら?私が北海道に駆け付けることになるよね。その時、仕事はどうしよう。子どもたちのことはどうしよう?

 

仙台の夫ががんになったらどうだろう?やっぱり私は仙台に駆け付けるのか?働き盛りの大黒柱のがん入院は、いろいろな意味で大変だ。

 

そんな風に思うと、私が家族を代表して今回がんを引き受けた意味とか、私にがんができた意味とか、私に課せられた何かとか…きっと、あると思うのよ。

 

だから、私でよかったの。私だから、良かったんだ。

 

さて11時、ストーマのパウチ(袋)を付け替える練習の時が来た。これまで何度もビデオを見て、手順はばっちり把握しているつもり…なんだけど、看護師さんが見ている前で一人でやってみるのは、結構どきどきするし、出来るかなぁと子供みたいに不安になる。

 

とにかく、漏れないように、しっかりとストーマの周りに袋を貼り付けるのだ。それなりのテクニックが必要だ。

 

これを毎日繰り返し、最後は、卒業テストに合格すれば無事退院と相成るわけで。今日の私の様子から、希望の31日退院のセンで進めていただけるようだ。(退院日は、主治医はもちろんのこと、最終的には病棟の婦長さん:もとい、今は「師長」さんと呼ぶ…が決めるのだ。)

 

持ってきたタブレットで、LA LA LANDを見たり、図書スペースから借りてきた「コンビニ人間」を読んだり。少しずつ、そういう時間が出来てきた。

f:id:calorina:20190414231331j:plain



午後、会社の上司がお見舞いに来てくださった。とても仲の良い、女性の上司。何でも話せる、職場で一番身近な存在だ。手術のこと、これまでの経過、何がシンドイか、今後の働き方のこと…いろいろとお話した。職場ではほかに闘病中の先輩もいて、いろいろと大変そうだ。私も早く戦力になりたいけれど、この状況では。いつ、復活できるかなぁと思う。

上司は、とっても可愛い相棒を連れてきてくださった。今夜から一緒に眠るのだ。

f:id:calorina:20190414231437j:plain

 

上司を見送った後、今度は夫が一人で来てくれた。満月が美しい夜だったから、12階のテラスと、5階の庭を一緒に歩いた。私の入院はあと5日ほど続くけれど、明日からは平日だから、夫と次に会えるのは退院の日だね…なんて話をして。ここまで早かったね、って。夫の仕事も、8月はそこまで詰まっていなかったからこうして何度も来てくれたけど、9月はかなり慌ただしくなるみたい。今月の手術が実現したことは、夫の業務的にも、本当に良かったのだ。

f:id:calorina:20190414231506j:plain

 

夫とハグしてお別れし、部屋に戻り、そろそろ北海道の実家に着いたであろう母に電話した。するとショッキングなことが。藤沢に住む大叔父があと2~3週間の命だという。すい臓がんを患っていて、余命宣告を受けていたけれど、そんな急に!

私が退院して会いに行くまで、頑張っていて欲しいな…。まだお礼をちゃんと言えてないから。

 

そういえば、奥のベッドに新しい方が入られた。私にとっては初めての後輩にあたる患者さんだ。76歳で、結腸がんだそう。自覚症状はなく、別の持病の血液検査で貧血と出て、いろいろ調べたら大腸内視鏡でがんが見つかったんだそう。本当に、がんってものは。自分ではないと思っていても、身体の中に、あるんだねぇ…。

入院9日目:術後5日目 涙の数を数えた日&5日ぶりのシャワー♪

 

入院9日目 術後5日目 涙の数を数えた日&5日ぶりのシャワー♪

2018年8月25日(土)

 

8時に朝食が届く。毎日とても美味しいご飯でうれしい。

ただ、このところ、食後のお腹の張りが気になるから、泣く泣く腹5分目にとどめることにする。食べたものの流れが若干悪いのかなぁ、やはり手術した腸の動きは、まだまだ本調子でないのだなぁ。

 

この日も寝ながらいろいろと頭の中で考えていた。

そうだ、本、書こう!

電子書籍でいいから、本、出したいな。

でも、スマホやパソコンを使えないような、病院の中で手術待ちのご家族にも読んでもらいたいから、やっぱり紙の本のほうがいいな…。

とかとか。

 

今日に至るまでに流した涙の数とか。大きな涙は6回あったなぁ。

1回目は、コレットマーレの中華料理店で。大腸内視鏡検査が終わり、とりきれない腫瘍があって、たぶんこれは「がん」だって分かった時。築地、有明、五反田…と聞いて、これから私、どうなるの…私、がんなんだ…って。泣けるよね。

c-calorina.hatenadiary.jp

 

2回目は、子どもたち二人と車で金沢のアウトレットに向かう車の中で。二人が小競り合いをしていて、あんたたち、ママがいなくなったら二人でちゃんとできるの??って怒って。もしもこの二人を残して死ぬことになったらと思うと、二人が心配で、やるせなくて。泣けるよね。

 

3回目。夏の葉加瀬太郎フェスで、思い出の槇原敬之の曲などを聞いて。隣にいる夫の顔を見ていると、ここに二人で来られた幸せをかみしめつつも、彼を残して死んだら、夫はこれからこういうフェスにも一人で来ることになるのか…と思うと。申し訳なくて、切なくて。ほろほろと泣けた。

calorina.hatenablog.com

4回目は、お盆休みの実家で、両親への告知が迫るとき。本当のことを言う?言いたくない。でも言わなくちゃ。お父さんお母さんごめん…

c-calorina.hatenadiary.jp

5回目は、手術室に入った時。家族とハグしてお別れして。もしかしたらこれでみんなと永遠のサヨナラかと思うと…。みんなの励ましもまた、泣けた。

c-calorina.hatenadiary.jp

そして6回目。術後1日目の、ベッドから起き上がるだけでフラフラして、立って脂汗が流れた情けない日。こんな簡単なこともできなくなっちゃった自分が悲しくて、もう私はダメかもと思って泣いた。

c-calorina.hatenadiary.jp

やっぱり結構泣いてるよね(笑)

自分は強いほうだと思っていたけれど、がんのパワーは、そんな私をもこんなに泣かせるものなのだな…。

 

それにしても、なんでこんな涙のことを、この日に思い出したのか。それは不明。気持ちの整理が必要だったのだろうか、無意識的に。

 

さてこの日の担当ナースは2年目の若くて可愛いMちゃん。働き方について語った。結婚して子供も欲しいけれど、10年目くらいのキャリアになると、仕事を抜けられない立場になるから、タイミングが難しい…と言っていた。しっかりと将来を見据えて働いている若い彼女を、心から応援したいと思った。働き方改革は、医療現場にこそ、とても必要。

 

9時15分ごろ、レントゲン室に呼ばれた。お隣に座っていた女性は、結腸と子宮を切除し、もう何年か生きられればいいから、QOLを大事に生きたいのよ…とお話してくれた。まだ70ちょっとか、とてもお若く見えるけれど、そんな風に思っていらっしゃるのね。

 

そして10時過ぎ、ついに、ついに!久しぶりのシャワータイムを迎えた。もう5日ぶりですよ…。さすがにね、気持ちいいー。あらためてお腹の傷を見ると、本当にびっくりするくらい小さい。腹腔鏡手術では、へその穴プラス、4つの穴をお腹に開けたけれど、ほんとにね、蚊に刺されたの?くらいの傷跡しかない。先生、上手だなあ。

 

髪も洗い、ドライヤーして、すっきりさっぱりしてお昼を食べた。少し横になっていたら妹が来て、それから間もなく母と次男もやってきた。夕方には、久しぶりに長男も来てくれて、仙台から夫も合流した。とても賑やかな土曜日!

f:id:calorina:20190412163831j:plain



私はまだ痰が絡んでいて、声が大きく出せない。対照的に母の声は大きくて、なんだかちぐはぐな音量での会話だけれど、楽しい。そういえば北海道の母が来てもう1週間が経っていた。速いなぁ。これからの1週間もあっという間に過ぎるのだろうか。

 

みんなを見送って、1階から病棟に戻ろうとエレベータに乗ったら、ポルトガル語を話す患者さんと一緒になった。パウロさん(仮名)は20代で来日し、もう40年以上日本に住んでいて日本語ペラペラ。でも、ポルトガル語で話した。パウロさんの患者体験もすさまじくて、紆余曲折を経てこの病院にたどり着いたということだった。もうすぐ退院だそうで安心した。私もパウロさんも、ポルトガル語で話す非日常的な感覚を楽しんでいた。閉ざされた病院空間だけど、こういう出会いもあるから、なかなか面白いのだ。

 

夜は薬なしでぐっすり眠れた!トイレにも起きずに眠れた。

そのせいで、ストーマ袋には200cc近く、たっぷりたまっていたけれどね…

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

入院8日目:手術後4日目、お尻とお腹の管が抜け完全チューブフリー!そして栄養指導を受ける

2018年8月24日(金)

 

なぜか昨夜はお尻がちくちくと痛み、まともに眠れず…。いつ眠り薬をお願いしようかと、悶々としながら午前1時半まで耐えついにナースコールを押した。痛み止めと眠り薬をもらい、その後はよく眠れたみたいで、午前6時40分に朝の回診にT先生が来た時も眠くてぼんやりしていた。

 

執刀医の先生に代わり、手術内容を詳しく説明してくれ、回診にもよく来てくれる若手のT先生。本当に笑顔がやさしくて、私は大好きなんだけど、明日から夏休みで帰省されるそうだ。退院の日にはまた会えますかね?と聞くと、そのころには戻っていると思いますと。数日のことだけど、先生の顔が見られないのは淋しいなぁ。最後の日には一緒に写真撮れるかなぁ、などと思っていた。

 

朝ごはんが運ばれて、さぁ食べよう!と思ったところで、主治医のF先生が登場。本当にいつもふらっと顔を出してくれるF先生。短く一言二言で去って行かれるけど、インパクトあります。管が抜けると、また楽になるよー、とおっしゃった。そう、私にはまだ2本の管と、点滴入れるためのポートが左腕に刺さっているのだ。

 

術後4日目となる今日。

何か術後の不具合が出るとしたら3日目までのことが多い、とT先生はおっしゃっていたので、とりあえず何ごともなく4日目に突入したので、術後は安定しているということね。

 

実際に、手術後、縫合不全などで再手術…という話も、身近に聞いた。再手術…想像するだけでしんどい…。あの全身麻酔からの、麻酔が覚めてのしんどい時間をもう一度やるなんて。想像するだけで嫌だ。そうならずに助かったよ。私の身体、ありがとう。

 

食欲もあり、ご飯が今日もおいしい。おいしいんだけど、6分目にしておく。腸が詰まるのが怖いからである。

 

今日のLINEには、キャリコン養成講座グループの仲間から、週末の試験の話が流れていた。そうだ、この週末は筆記試験があるんだった。わたしは幸いにして、7月に合格が判明していたから、今回の試験は受けなくてよい。もし不合格だったら、このタイミングで受けるはずだった…。私の身体にはがんがあったから、神様も一回目の試験でパスさせてくれたのだろうか、とか思ったり。タイミングの神様はすごい。今年の目標はまさに、キャリコン試験合格だったから、それを果たしたうえで入院ということになった。やりたいこと全部できた上での入院で良かった。このタイミングは我ながら本当にすごいと思う…。

calorina.hatenablog.com

 

12:55、T先生が来て、お尻の管を抜いてくれた。こ・れ・が…

今回の入院で最も痛い体験であった。お尻の管とは、肛門からすぐのところを切って縫っていたわけだが、そこの縫合不全がないかどうかを確かめる(じわじわとそこから出血してないかを見る)ための管だそうで、恐ろしいことに、結構太い管(ドレーン)が肛門に「縫い付けて」あったらしい。

 

まずその縫い付けていたホチキスみたいな針?をプチプチと取られる。痛い。

 

次にチューブをお尻から引き抜く。これがもう・・・

思わず、イタイヨー!と大人げなく声が出てしまうほど、痛い。泣きはしないけれども、泣きたくなるレベルの痛さだった。

 

肛門の中に5センチくらい入っていたという管は、確かに抜かれるとすごくラクになった。同時に、お腹につけられていた管(これは何だっけ?)も抜いてもらえた。こちらは痛みなく楽勝だった。

 

お腹から排出されるものを入れておく袋、そしてそのカバーが布製の手作りポシェットで、柄がたまたまスヌーピーだったのだけれど。結構気に入っていたけど、そのポシェットともお別れできた。(写真撮っておけば良かった!)

これで本当にドレーンフリーの身となった。こうして少しずつ私の身体は戻っていく。一日一日、たしかに少しずつ前進している。嬉しい。

 

この日のノートには、「元気度のうつりかわり」と題したグラフを書いていた。

f:id:calorina:20190321150252j:plain



手術前々日から今日までの、わたしの元気度のバロメーターを曲線グラフにしていた。そう、まさにこんな感じ。V字回復である。

 

14:40から、1階のセミナールームで「栄養士による食事について」の説明会に参加した。腸の手術を受けた人は必ず出るもの。約20分の短い時間ながら、コンパクトにまとまった良い情報がたくさん得られた。要するに、今後退院してからの自宅での食事はどんなことに気を付けるのか?という話。ポイントは3つ。

 

・ドカ食い禁止、一日5食

・術後1か月間はいろいろと注意(お酒NG、生ものもNG)

・キノコ、海藻、ナッツ、繊維質の多いものはNG

 

腸の手術の後、何が怖いって、「腸閉そく」が何より怖いのだ。腸が食べ物によって詰まることは、何としても避けなければいけない。キノコ、海藻などは、普通は健康にいいヘルシーフードとして認識されているけれど、腸の手術後は要注意。なぜなら、消化分解されにくく、食べたまんまの形で大腸まで届くから、たくさん食べると詰まりやすいのだ。

 

帰宅後2週間はおかゆ生活、というのも厳守しないと。主食はしっかりとりなさい、ということなので、おかゆをしっかり作って食べよう。白いご飯やパンはしばらくおあずけだ。

ひとりひとりの体重に合わせた必要カロリーが書かれた紙をもらって、部屋へ戻った。1日1600kcalか…いいダイエットになるな、これ。

ふと、カツ丼なんかは1食1200カロリーくらい軽くいくよなぁ…などと、頭をよぎった。

f:id:calorina:20190321150312j:plain



16:45 左手の甲に刺さっていた、点滴を入れるためのポートが外された。これもなにげに違和感があったので、外されて楽になった。これで完全に、私の身体には管という管がひとつもなくなった!カ・イ・カ・ン。

 

夕方は、横浜からお見舞いに来てくれた義理の両親とデイルームでずっとおしゃべりした。だいぶ顔色も良くなり、元気そうにしゃべる私を見て、二人ともかなり安心してくれたみたい。良かった。手術直後の私とはすっかり別人よね。

 

18:45 窓辺のベッドのBさんに「夕日がきれいよ!」と声を掛けられてみてみると、うん、久々にきれいな夕空だ♪

f:id:calorina:20190321150340j:plain



夕食後、なんだか腹部の膨張感がある。こんなの初めてだ。管を抜いたせい?食べすぎ?ちょっと心配になって看護師さんに聞いたら、お散歩で治るという。なので、1階と5階をうろうろ歩き回ってみたら、確かに少し収まった。

 

そういえば今日は、ストーマのトイレでの処理の仕方を看護師さんに教わった。トイレットペーパーをこよりのようにして使う方法に、なるほどと唸った。

 

今夜は、念のため眠る前に眠り薬をもらっておいた。痛みはないし、眠れそうな気はするけど、念のため。

 

…と思っていたら、やはりあまり眠れなかった。23:30、2:00、5:10に目が覚めた。最初のタイミングで薬を飲みそびれたのだ。うーん…。

 

お尻の痛みが、ドレーンが抜けたことでゼロになると、今度はお腹の張りや痛みに気持ちが傾くというか。痛みはどこかに一点集中で感じるものなのかなぁ。

 

結局、5:10以降はもう起きることにして、院内を散歩することにした。そしたら思いがけず、ビッグサイトの窓から、葛西方面にのぼる太陽を見ることが出来た。早起きは三文の徳♪

f:id:calorina:20190321150408j:plain

そういえば昨日の歯科講座で、朝起きたばかりの歯磨きは非常に有効!と聞いたことを思い出し、朝焼けを見ながら歯磨きをしていた。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

入院7日目:点滴取れた!髪を洗ってもらえた!そしていろいろ考えた

 

2018年8月23日(木)

 

夜中3回トイレに起き、4回目が午前6時15分だった。

そういえば夜の10時に点滴の管を全部外され、左手が少し楽になった。自由に腕を動かせる感覚、久しぶり。こうして少しずつ、チューブフリーの日が近づいていくのね。嬉しい。

 

夜中3回も起きていると、じっくりと寝られないから、その間いろんなことを考えていた。人間、やることがないと、いろんなことを考えるものなのかな。考えるくらいしかすることないということか。

 

考えていて出てきた言葉が、

 

人生をリセット。リメイクしよう。

今を生きる。

人生一度きり。

 

そんなことをノートに書いている。(そして、のちに私のメインブログのサブタイトルに、ポルトガル語で「人生一度きり」とつけたのだった)

calorina.hatenablog.com

 

本当にね、手術後のカラダは、以前のわたしのものとは違っていて。好きでそうなったわけでなくて、強制リセットみたいな感じなんだけれども。人生のリセットとも言える感じでね…。ちょっとパワーダウンしたことは否めないけど、リメイクはまだまだ出来るよね。人生一度きりだしね!と。そんなことを、長い夜に思っていたわたし。

 

さて午前中、待望の!洗髪タイムとなった。

実に…4日ぶりかな。もうね、ペトペトだよね、髪が。エアコンで温度管理されている病院とはいえ、さすがに4日もあたま洗わないとね…

さすがにまだチューブがいろいろ体についているので、自分では洗えなくて。看護師リーダーのMさんが洗髪ルームで洗ってくれた。いろんなお話をしながら。主に、Mさんがここに至るキャリアを伺っていた。そう、わたしはキャリアコンサルタントだから、看護師さんたちがこの仕事を選んだ理由とかやりがいとか、そういう話を聞くのが大好き!もちろん、話したがらないタイプの方にはあえて聞くことはないけれど、だいたいの方は、喜んで語って下さる。そして、みんな、優しいんだよなぁ…。

 

この日、奥のベッドのAさんが退院された。

ロングのワンピース姿で、元気に、笑顔で!お迎えに来られたご主人と、仲良く病室を出て行かれた。Aさんにはいろんなことを教わった。私より一足先にストーマ閉鎖の手術を今回受けた方。私がこれからたどる道を、見せてくださった方だ。

 

Aさんの失敗談もとても役立った。最初の手術の1か月後に、食べすぎてイレウス(腸閉そく)になり激痛で病院に駆け込んだことがあると。なので、退院後のドカ食いはダメよ!と身をもって教えてくださった。そうなんだ…怖いな。

 

わたしも笑顔でAさんを見送ったつもりだけど、最後に握手をしたら、なんだか淋しくなって涙が出た。そこにいた看護師のMさんは、そんな私の背中を優しくさすってくださって、また涙。こういうとき、人は背中さすりに泣かされるのだね…。手術直前に、家族と別れて涙したときの看護師さんも、黙って肩をとんとんして励ましてくれた。ボディタッチ、大事。

 

その後、わたしはもうひとつの管が外された。おへその隣に造設されたストーマ人工肛門)につながれていたチューブを外し、代わりに排泄物を入れる袋が装着された。あとはチューブがもう一つだけとなった。ポシェット一つの身となり、かなり移動が楽になった。

 

ちょうど今日は1階ロビーで、「がん患者のための歯科講座」なるものがあり、たまたま通りがかったら始まる寸前で聴衆が数名しかいなかったこともあり、誘われて聞くことにしたのだった。

主に、抗がん剤治療中は口の中がデリケートだから歯ブラシが口に入るだけでも辛いことがある、だからこういう器具で磨くのが良い…とか。

手術の麻酔の際に歯がぐらぐらしていると危険だから、事前に歯の治療が必要、とか。

全然知らない話ばかりだった。がんとお口の健康、実は相当かなり大事みたいだ。

 

午後、私と同じ日に大手術を受けた同室のBさんがICUから戻ってきた。まだまだ器具がたくさんついていて、しんどそうに見える。12時間に及ぶ大手術だったそうだ。わたしの3倍だ。手術前は確か8時間と聞いていたけれど、長引いたんだね…。

Bさんのところには娘さんや息子さんがやってきて、少しずつお話をするうちに、元気な様子が戻ってきたみたいで。私も安心した。家族の存在は大きいね。

 

そして我が家の3人組(母・妹・次男)もやって来てくれた。またタリーズに移動して、他愛のない話をした。本当に他愛のない話。でも、そこから笑いが生まれる。一人じゃ笑えないけど、みんなと一緒だから、笑える。ありがたいことだなぁ。私は幸せだ。

 

母は、娘がガンだなんてこと、ほかの人には言いにくい…と言っていた。そうだよね。私はもうすっかりガンに慣れたけど、みんなはまだ慣れてないよね。だからショック受けるよね。私も、FBの友達が少しずつ様子に気づいて心配の声をあげてくれていて。いつどうやってカミングアウトするものか、と悩む。入院生活はまだまだある。もう少し考えよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夜になり、夕食後の散歩で病棟内をうろうろしていたら、窓の外を見ているおじさんがいた。「何が見えますか?」と声をかけたら、月の下にくっきりと金星の姿が!

「今が一番よく見える時期ですよ」とおじさんは教えてくださった。そこから病気の話が始まり、これまた壮絶な闘病ストーリーを語って下さった。余命宣告された経験があること、大動脈瘤もやったこと、もう俺は長くないから…と最後はカラっと笑っていらした。いや、すごくお元気そうに見えるんですけどね。そうなんですかね?

各地の病院事情にとても詳しくて、固有名詞をいくつも挙げて紹介してくださった。私は思わずメモメモしていた。

 

病棟内で誰かに声をかけると、もれなく長いストーリーが始まる。入院中、みんな誰かと話したいんだよね。うん、わたしもそうだもの。患者同士、わかりあえる共通の気持ちみたいなのがあるから、わたしもどんどん聞きたいよ。

 

きのう家から持ってきてもらった、お気にいりのピンクのパシーマ(薄い綿のキルトケット)は手触りが良くてやはり落ち着く。

 
パシーマ シングル【ポイント5倍】ガーゼケット 無添加パシーマ 脱脂綿パシーマ 安心のシングル 145×240cm 寝具 衛生 【ふきんのおまけ付き】

 

初めての入院だから勝手がよくわからなかったけど、みなさん、自宅から枕やら可愛いバスタオルやら、いろんなベッド回りグッズを持ち込んでいるらしかった。なので私もお気に入りを調達してもらったのだ。うん、これはいい。よく眠れそうだ…。

入院中は、なるべく自分の好きなモノに囲まれて、触れているのが幸せみたい。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

 

 



入院6日目:手術後2日目。良かった、歩けた、食べられた!

2018年8月22日(水)

しんどかった手術翌日を経て。今日は術後2日目。

昨夜は、ついに1粒、眠剤を飲んでみた。夕食後に、眠剤と痛み止めの錠剤の計2粒の薬を、看護師さんがベッドサイドに持ってきてくれる。飲んでもいいし、飲まなくてもいいよ、っていうもの。もともと薬に頼ることはあまり好きではないタイプ。だからこれもどうしたものかと思ったけれど、さすがにね…。夜眠れないのは辛い。もともと寝つきはいいし、よく眠れるタイプだから、こうやって痛みとか体中の不快感によって夜眠れないという状態は、辛いのよ…。よく、夜眠れなくてね…という人がいるけれど、今まで私にはその感覚があまりわからなかった。でも今ならわかるよ。眠れないのって、きついね。これが何日も続いたら、おかしくなっちゃうね。

 

ということで、初めての眠剤。ようするに睡眠薬。うちのじいちゃんは「眠り薬」と呼んでいたけど、1粒飲んだらよく眠れた。熟睡できた、と思う。

 

この日の朝はまだジュースのみ。

点滴で栄養を取っているせいか、丸3日絶食の割にはおなかペコペコでもない。けど、やっぱりそろそろお腹がすくよね…。お昼からはお粥が出されることになっている。待ち遠しすぎる…。

 

まだまだ寝たきりに近い状態。電動ベッドで頭を上げたり足を上げたり高さ調整が出来る、ということを昨夜初めて知り、多少の体位移動をする程度だ。なんとか手を伸ばして、ベッドサイドの引き出しにいれてあったスマホを手に取る。術後初スマホである(笑)そして自撮りしてみる。顔が青白く、生気がなく、しかもむくんでいる…。でも一応、弱々しくも笑ったつもり。わたしは元気よ、のしるしとして、家族や義父母のラインに送信した。

 

f:id:calorina:20190228232149j:plain

 

午前中も主治医や若い医師(チームAのメンバー。この病棟にはチームAとBがあり、私はAであった)が回診に来てくれる。おなかの様子を見て、人工肛門の様子を確認して…と。そうだった、わたしのへその隣には、人工肛門が作られたのだったよ!そういえばそうだった、と気づく朝。

 

そしてこの日の午前中、またひとつチューブフリーになった!尿の管を抜いてもらえたのだ。そもそも尿の管が通されていたのは気づかないうちであり、その時は麻酔中だったので痛くもかゆくもなく、その後も感覚は特になかった。そういえばわたし、全然トイレに行かないなぁっていうくらいの(笑)

 

で、抜かれるときの感覚は、ちょっとある。「力抜いてくださいね~」と言われて、息をふーっと吐いたら、もう抜かれていた。特に痛くもかゆくもなくて、良かった。

 

これからは、頑張ってトイレに行かなければならないのね。そっちのほうがちょっと、恐怖。なんせ、昨日は歩けなかったんだから。私、トイレまで行けるのかな…。不安。

 

そしてほどなくして、歩く練習の時が来た。昨日の屈辱から一夜、果たして大丈夫なのか?

 

今日の担当の看護師さん、昨日とはまた違う方がサポートしてくれる。小柄な方、果たして私の身体を支えられるのか?

 

おそるおそるベッドサイドに腰かける。ここまでは上手ですね!とほめられた。こういうささいなほめ言葉も、本当に嬉しいのだよ。なんせわたしは、横になってることしかできないんだから。

 

そして立ち上がってみる。お、昨日とは全然感覚が違う!

めまいもしない、脂汗も出ない、吐き気もないよ!これならいけそうだ。

その場で足踏みし、ふらつかないことを確認。よし、今日は大丈夫だ。

 

そのまま、点滴を連れたまま、看護師さんの付き添いで病棟内を歩いてみることにする。動くとまだイテテ…という感じで切ったところが少し痛むけれど、歩けている自分に感動!

人間、日々、進歩しているのであるよ…。嬉しいよ…。

 

そんなわけで、晴れてひとりでトイレに行くことが出来るようになったのだ。これはすごい進歩なのだ。

そして同時に、尿量測定が始まった。トイレに設置されたわたし専用の計量カップで、尿が1回に付き何cc出たのかを紙に記録する。時間と量を都度、手書きしていく。面倒だけど、尿の量も大切なサインなんだという。

 

さて、お待ちかねのランチタイム。

五分粥1/2量からの再スタートだ。うれしい…。お粥はもとより、おかずがこんなに!!

サーモンのクリーム煮だ。デザートにモモ缶も。嬉しい…。

f:id:calorina:20190228232237j:plain



ただ、看護師さんからは、控えめに食べるようにとのお達しである。急にたくさん食べると、腸が詰まってしまうという。それはいやだ。だから、控えめにする。食べたいけど、我慢する。

 

かくして、丸3日ぶりに食べ物を口にした。一口一口、ゆっくりと。かみしめるように、すこーしずつ、身体に食べ物を通していく。五分粥とは、ほとんどドロドロのお粥である。でも、お米の味がしみじみと美味しいなぁ。

 

味わう一方で、食べる怖さもある。食べることで、排泄物も変わっていく。それはわたしにとって、未知の世界だ。そもそも、お通じを人工肛門から出すということ自体、未知の世界なのだが。

 

いまのところ水分しかとっていなかったし、どうやらいつの間にか袋にたまったものを看護師さんが処理してくれていたようなので、ほぼ、排泄の実感はない。けれど、これからものを食べるとなると、それなりに出てくるわけで…。どういう感じなんだろう。未知の世界に対する不安がすこしだけ湧いてくる。だから手放しには食べられないのだ。食べること、それ自体がリハビリという感じもあり。腸の機能をまた元に戻すための、まさにリハビリなのだ。食べることが。

 

食べると元気がわいてきて。昨日までのほぼ無気力なわたしとはもう決別だ。なんせ、歩けるようになったしね。午後また訪ねてくれた母と次男と、埼玉の妹と一緒に、1階のタリーズまで行ってみた。すごいよね、昨日まで寝たきりだったのに、もうこんなに移動が出来る!

f:id:calorina:20190228232357j:plain



嬉しくて、そしてまた撮影役の次男の一言がおかしかったのか、母娘3人で大笑いしている。こんなに元気になれた自分に一安心だよ。本当に良かった。

 

みんなを見送り、部屋に戻ると夕食が届いていた。今度は鶏肉だ。肉は久しぶりだ~

ペロリと平らげたいくらい美味しいけど、ここは我慢の子。半分の量をキープするのだ。それにしても、この量ぜんぶ食べても207kcalって…。これ続けたら、間違いなくやせるわー。

 

久しぶりに空を映したくなって、窓辺に移動した。ん?今宵はスーパームーン

大きな満月を映した。

 

f:id:calorina:20190228232524j:plain

こうして一日一日過ぎてゆく。そして一日一日、わたしは元気になる。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

入院2日目:まだまだ余裕。の手術前々日は病院を巡り、患者仲間と語った

2018年8月18日(土) 手術の前々日

 

入院2日目。今日は検査など特にないので気楽!

 

夜はまぁ、よく眠れたのだろう。最初、完全消灯の9時半にベッドサイドの小さな灯りを消して横になって、なんとなく起きたらまだ11時半でビビり、トイレに行ってまた寝たら、そのあとはそこそこ眠れたようだ。起きたら6時半だったから。誰かに対する看護師さんの検温の声掛けで目覚めた。

 

朝ごはんは温泉卵、野菜炒め鶏ひき肉入り、みそ汁、オレンジであった。ご飯はまだ普通のごはん!

f:id:calorina:20190212234533j:plain

 

思えば、これが最後の普通ごはんである。この日の昼からおかゆ、しかも五分がゆになったのでね…。そういえば牛乳もついていたので、朝ごはん食べてすぐにファミマでアイスコーヒーを買い、自分で持ってきたカップに移し替えてそこに牛乳入れてアイスオレにして飲んだ。

 

朝の体温は36.5度。このところ私にしては体温高めだ。もともと35度台後半の人だったのに。血圧は113の53、下が低いけど特に何も言われず。ちなみに夜8時の時点では36.4度、血圧は118の73であった。

 

今日は11時待ち合わせで義理の両親が来るというので、それまでにシャワーを浴びようと思って10時20分から予約した。シャワー室は病棟に2室あり、20分一枠で設定されている。予約用紙の希望時間帯のところに部屋番号を書いて利用する。私の前の利用者がいなかったみたいなので、実際には10時15分から利用して、余裕で間に合った。不覚にもシャンプーを2本持ってきてしまっており、その代わりリンスがないよ…。でもドライヤー前にアルガンオイルを髪に付けたら十分なめらかであった。これで今回は乗り切ろう。顔用に日頃使っているアルガンオイルだけど、髪にも使える。オイルさまさまである。

 
生活の木 有機アルガンオイル・クリア 精製 25ml

そのあとは12階のベランダに登って写真や動画を撮ったりした。わたしのいる7階とはまた視点が違って、いちだんと見える範囲が広がる。東京ビッグサイトの全容も見渡せ、遠くには、わたしが江東区民だったころにはまだなかった橋、東京ゲートブリッジも見えた。

 

f:id:calorina:20190212234757j:plain


ここにはでかでかと病院名が建物の外壁に書いてある…。まだFBやインスタの投稿には施設名をカミングアウトしていない。わかる人にはわかるレベルの書き方だけど。さあ、いつこの場所にいることをみんなに明かそうか。まだどうしようか迷っている自分がいる。書きたいような、書きたくないような。

f:id:calorina:20190212234909j:plain

 

そういえば今朝、お向かいのベッドのおばあちゃんが退院された。お帰り際に声をかけてみた。盲腸のがんだったんだそう。区の検診項目に今年から便潜血検査が入り、それで陽性になってカメラをしたら盲腸のがんだったと。でも1週間の入院で済んだと。86歳でとてもお元気。自覚症状はなかったそうだ。まだまだ長生きできるねおばあちゃん!

 

おばあちゃんは、息子さんとみられる男性と帰っていった。ちょっといびき気味のおばあちゃんだったので、今夜から静かに眠れるかなぁ、実はホッと一安心。病院生活は、集団生活ですからね。

 

そして間もなく、お向かいはすっかりきれいに掃除され、いったんベッドは引き下げられ、再度あたらしいものが搬入された。



そうこしているうちに夫と義理の両親が到着。デイルームでしばらく話をしているうちに私の昼食が届いたので、病室ではなくデイルームでおしゃべりしながら食べた。それからみんながのお昼ご飯は、1階の東京会館へ降りて。私はクリームあんみつを食べた。しばらくシュガーフリー生活を続けていて砂糖をとっていなかったから、こんなの久しぶりだ!あまい…

またしばらく食べることはないだろうから、しばし、この甘さに浸った。

 

f:id:calorina:20190212234952j:plain

義理の両親に対しては、これまでのことを、夫が上手に先生に成り代わって説明をしてくれた。おかげで、だいぶ理解が進んだようだ。かれこれ2時近くまで滞在してくれた。

 

2時からは同じく1階のタリーズでのコーヒー教室。なんと無料である。タリーズは、創業者の松田さんがお父さんをがんで亡くされた?とかで、病院でのくつろぎの場の必要性を感じて病院出店を目指したのだそう。まずは東大病院に入れたのが10年ほど前で、今では全国50か所くらいに病院内タリーズがあるんですって。知らなかったなぁ。

 

f:id:calorina:20190212235047j:plain

アイスコーヒーの美味しい入れ方、シロップ入りのアレンジコーヒーを教わった。生徒は私たち二人と、女性二人。このお二人は親子かと思ったら違っていて、一人のおばあさんはこの病院歴14年の大ベテラン。もう一人も方も6年前くらいに最初にかかったらしい。乳がんらしい。私が明日から手術前でコーヒーが飲めないんです、と言ったら二人は驚いていた。がんも部位によってずいぶん違うのだよね。その女性は私たち夫婦の様子を秘かに写真におさめてくれ、Airdropにてその場で連携してくださった。とてもいい写真なので、あとでアップしよう。

 

そしていったん部屋に戻り、それからデイルームで夫と少し話をし、スケジュール確認を11月ぶんまでやったうえで、夫は帰っていった。私は今日届いたポケットWifiを使ってみたが、すこぶる調子がいいよ!タブレットもスイスイとネットにつながるし、ワンセグでテレビも映った。

f:id:calorina:20190212235356j:plain

これで30日間5400円は悪くないと思う。ちなみに利用したのは楽天でオーダーしたこれ。


<SALE中><往復送料無料> wifi レンタル 無制限 30日 ソフトバンク ポケットwifi 303ZT Pocket WiFi 1ヶ月 レンタルwifi ルーター wi-fi 中継器 国内 専用 wifiレンタル wiーfi ポケットWiFi ポケットWi-Fi 旅行 出張 入院 一時帰国 引っ越し softbank あす楽 空港 受取



そうこうしているうちに晩御飯が届き、一人でデイルームで食べた。自分のベッドはどうも薄暗くて居心地があまり良くないのでね…。

 

食後、部屋に戻ったらちょうど奥のベッドのAさんがいたので、窓辺にしばし座ってお話を聞いた。Aさんはわたしと一緒のタイミングで入院したひと。そのあと、先に入院していたBさんも交えて3人で話をした。Bさんはストーマ閉鎖の手術で入院している人。いわば、私の先輩格である。わたしがこれから経験することを、一足先に経験される人である。

 

このお二人は、私どころではない大変さを経験されていた。まずはAさん。東京近県にお住まいの、56歳のお母さん。特に不調はなかったけど初めて去年夏に検診を受けたら、便潜血が出たんだそう。それで調べたら大腸がんで肺に転移があって、地元の大病院では余命3か月と宣告されたんだと…。進行させないための化学療法を、と勧められたが、納得のいかないお子さんたちがいろいろと調べたところ有明にたどり着いたんだとか。ここでは、手術は何回か繰り返すけど、取れるところまでがんを取ると言われたんだそうだ。なんとも壮絶な経緯である。余命3か月って…そんな宣告を受けた経験がおありだなんて。ちなみに、見た目はとってもお元気で、明るく可愛いお母さんだ。この日の時点で、すでに余命宣告から軽く3か月は経っている。

f:id:calorina:20190212235431j:plain


もう一人のBさんは52歳。自覚症状はなく、年頃だしそろそろしっかりエコー検査でも受けてみよう…ということでやってみたら、がんが見つかったと。平たいタイプのがんで、そこそこ大きかったので、まず放射線治療で5日間通ったけれど、これがとっても痛くて大変だったんだって…。その後、抗がん剤もやったとのことだが、そっちのほうがまだ良かったんだって…。つらい治療を頑張ってこられて、今ここがあるんですね。二人とも右胸の上の、抗がん剤を入れるところ(ポートと言うらしい)を見せてくれたけど、私には痛々しく映った。お二人はもうすっかり慣れた風に、「これあるとシートベルトとかリュックができないのよねー」なんて言い合っていらっしゃる。強いな。

 

とにかく、お二人のこれまでの闘病体験談は、私にとって結構かなり衝撃的であった。私など、本当に、がん患者を名乗るのも申し訳ないくらいですよ…。

 

それにしてもお二人とも顔色はいいしふっくらしているし、とてもがん闘病中には見えない。そして、明るい!

聞くと、お二人とも食べるのが大好きでよく食べるんだそう。アルコールは二人ともあまりとらない。タバコも吸わない。Bさんは、自分は暴飲暴食が原因かな、とおっしゃっていた。うーーーん。なんだろうね、がんの原因って。みんなの共通項があるわけでもなく、本当にわからなくなる。

 

この日の夜はなんだか眠りが浅くて、10時に一度寝て0時半に一度目が覚めて、そのあと目は閉じるものの寝つけなかった…。何度も寝返りを打ったけど、なんだかね。いろいろと頭に浮かぶことがあった。なんで私はがんになったのかなぁ。好奇心が強い私だから、未知の世界を知りたい気持ちはいつもある。いまいるこの病院の世界は、未知の世界。その世界を知り、みんなに知らせるために、私はがんになったのかなぁ、とかね…。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

 

入院1日目:いざ出陣!がん研有明病院、入院初日の長い一日のこと

2018年8月17日(金)

 

ついにこの日がやってきた。病院モードに突入の日。手術のための2週間の入院の日々が、ついに今日から始まる。

 

北海道にいるときは、本当にこの有明のことを忘れ去るくらい、楽しい日々だった。有明は悪くないんだけどさ、やっぱりね。病院に一歩足を踏み入れると、そこは何とも言えない別世界が広がっているんだよなぁ。私が「患者」に切り替わる世界…。



昨夜は午前2時にベッドに入り、すぐに眠れたようでそうでもなくて。次男の部活が7時半からなので、私より先に出かける。しばらく見送り出来ないかと思うと少し寂しい。ハイタッチして見送った。

 

それからも怒涛の時間。お風呂に入り髪を洗い、洗濯し、子どもたちの晩御飯にするためのチリコンカンをホットクックに仕込む。デバイス系の充電機器などを準備して、ゴミ袋を3つ捨ててきた。この期に及んで、ゴミ袋3袋である。今までどれだけさぼっていたか…。我ながらあきれる。

 

よし、いよいよ家を出るぞ!

鍵をかけて数メートル歩きだしたとき、あ!

そう言えば呼吸の練習の器具、忘れてた!

急いで部屋に取りに戻る。

 

ああ、どこまでドジでバタバタなんだ自分…

 

暑いし、荷物も多いので、今日はタクベルを呼んで最寄り駅までタクシーを使った。いい運転手さんで良かった。これから入院するんです!大腸がんの手術です、って話して。おじさんは少し驚いていたけど、話を聞いてくれたので、大腸内視鏡検査で見つかったんですよと話した。運転手さんはおしりカメラ未経験だった。もちろん強くオススメした。

 

電車に乗り込み、病院のある国際展示場前駅に向かう。

いざ出陣!と言う気持ち。まさに。

新しい世界、私の知らない未知の世界に入り込むのは、楽しみではある。世界を広げる第1歩。行ってやろうじゃないの!

f:id:calorina:20190127172636j:plain



---------------------------------------------------------------------------

 

1階の入院受付窓口で手続きをする。私と同じように、ゴロゴロバッグを持って、今日から入院のひとたちがたくさんいる。4つある窓口は埋まっている。各種書類(パジャマ貸し出しの紙、差額ベッドの人はその承諾書など)にサインをし、その足で同じ1階の採血の部屋に行く。今日も6つくらいのシリンダーに採血された。

f:id:calorina:20190127180221j:plain



そしていよいよ、初めて足を踏み入れる入院用のエレベータへ。

 

757の部屋はナースセンターのすぐ近くだった。4人部屋で、奥はHさん。漏れ伝え聞いた話によると、ストーマを戻す手術のために入院しているらしい。まだ40代に見える。向かいはおばあちゃん。漏れ伝え聞いた話によると、明日退院らしい。斜め前がNさん、今日同じタイミングで入院した50代くらいの女性。漏れ伝えい聞いた話によると、大腸と肝臓を切る手術をするらしく、ちょっと大変だとか…。そうだよなぁ、いろんな状態の人が入院している。共通しているのはがんということ。消化器外科の入院病棟が7階というわけだ。

 

ここはがんの専門病院だから、どこに出来たがんかによって、階数が違ってくる。エレベータを境に東病棟と西病棟に分かれていて、わたしの7階は、東病棟が大腸(下部消化管)、西病棟が胃と食道(上部消化管)というふうに分類されている。近年は胃がんが減って大腸がんが増えているから、西病棟に大腸の人が入ることも多くなったと聞いた。

 

お見舞いの人が結構出入りしていて、にぎやかな時間帯もある。静かなときもある。うん、居心地はなかなか悪くない。1階2階の検査フロア同様、明るいインテリアなのが効いているのかな。

 

---------------------------------------------------------

 

12時半ごろに待望のランチが到着!

f:id:calorina:20190127172733j:plain



プラスチックのふたを開けると、まだ温かいごはんが!そして味付けがやさしくておいしいおかずにビックリ。これなら毎日でもいい。カレイの揚げ煮がとてもいい。こんにゃくと昆布の煮たのとか、なによりお吸い物のだしがとてもいい。カリフラワーのマリネみたいなサラダも美味しい。昔の私なら味付けが物足りないかもしれないけれど、今はちょうどいいか感じ。このくらい薄味だと、だしの味わいがしっかり感じられて、しみじみと美味しい…

病院での楽しみが一つ増えたわ♪

 

食べ終わってしばらくして、レントゲン検査で呼ばれた。血液に続き本日二つ目の検査。普通の胸のと、あお向け寝でおなかを上から映すのをした。

 

それから麻酔科の先生とマンツーマンで話をした。麻酔とは何ぞやという資料を見ながら、起こりうるリスクの話。全身麻酔だから、全身の筋肉をゆるめるんだそうで、そうすると呼吸も止まるから、のどに管を入れて人工呼吸で管理するのだそう。だから術後はのどの違和感があるんだそう。心臓は止めたら死んじゃうので止めないけれど、呼吸って止まるんだね…。いろいろと勉強になります。

 

f:id:calorina:20190127180314j:plain

女性の先生だった。わかりやすい説明だったし、この先生も感じがいい。受付の方といい、血液検査の方といい、ここのスタッフの方はみなさん感じがよくて素敵ですね、と思わずこの先生に言った。先生は、あらそうですか!ととても明るい表情になった。わたしは、素敵なことは素敵ですと伝えたいタチなので、そんなことで喜んでいただけると嬉しい。

 

---------------------------------------------------------

 

そうこうしているうちに仙台から夫が到着。14時頃だろうか。15時過ぎると言っていたのに、早かったね。少し雑談をしていると、また呼ばれて、おなかの印付けをした。ストーマ、つまり人工肛門を設置する位置を事前に決めるのである。上下の2か所にマークして、上のほうはかがんだときにしわになるからイマイチと言っていた。ベルトを通常する人なんかは、ベルトが当たらない位置などに定めるらしい。紫の消えにくいペンで印をつけたけど、シャワーの際など、消えないように気を付けるようにと言われた。最後に印の写真を撮り、終わった。

 

部屋に戻ってまた少し雑談をしていると、今度は手術の説明ということで担当の先生に呼ばれた。麻酔科の先生と話したのと同じ部屋で、夫と二人で聞いた。それはそれはわかりやすい、詳しくて長い説明だった。

 

厳密に言うと、主治医で執刀医のF先生はこの日は非番で、同じチームの若手のT先生が説明をしてくれたのだった。私の患部の写真やエコーやらMRIやらCTやらの写真を見て、説明してくれた。プリントアウトされた紙の資料も利用して、図解でよくよく説明してくれた。お医者さんって理系のひとなのに、すごくコミュ力高くてびっくり!こういうお医者さんばかりだといいね。夫の質問にもしっかり答えてくれた(なぜか患者本人より、家族のほうが質問を多くするんですな)。

 

この説明によりわかったことは、がんのステージの決め方。

f:id:calorina:20190127180351j:plain



ステージっていうのは

 

1.腫瘍の浸潤 (しんじゅん、と読む。がんが、身体のどのくらいの深さまで入りこんでいるか)

2.リンパ節転移(がんがリンパ節に転移しているかどうか)

3.多臓器転移(読んで字のごとく。原因となるがん:原発巣が大腸であっても、転移で肝臓や肺などに転移しているかどうか)

 

の有無をトータルして決めるんだそうだ。

 

私は2.3はなくて、1は第3層目の筋層に達してるから決して浅くはないけれど、これだとステージ1というんだそうだ。なるほどね。

f:id:calorina:20190127180428j:plain



リンパ節転移については、いまあらゆる検査で見た感じは転移はないけれど、手術で組織を取ってみて、取ったリンパを調べてはじめて、転移はないね、ということが正式に言えるらしい。今の時点でない人は、取ってみても大概ないことが多いらしいけど、100パーセントではないと。そうだよね、何事も100パーセントはないからね。ちなみに手術後1か月ほどでがん組織の生研の結果がようやく出るんだって。

 

でも今はそんな先のことより、手術後の回復をまず第一に考えてと言われた。化学療法実施の可能性があるかないかも、まだ先の話だと。放射線治療はたぶんこれから先の段階ではないだろうとのこと。そうかぁ。でもまだ化学療法は可能性があるのだなぁ…。

 

--------------------------------------------------------

 

そしてストーマのこと。肛門まで4センチ未満のところにがんがある人は、必ずストーマにすると。永久の場合も一時的の場合もあるけど、私は5センチだそうで、ギリギリ4センチ超えてるんだけど、一時的ストーマにするとのこと。肛門の周りの神経は複雑で、そこを手術するわけだから、やはり手術としては簡単ではないらしい。そして一時的ストーマを戻すのは術後から3か月後くらいで、入院期間は1週間くらいの手術だという。ストーマ閉鎖後に起こる頻便傾向は、ストーマ戻しても何年たっても変わらないんだと言われる。頻尿は聞くけど頻便ってあまり効かないぞ。自分がそれになるのか。うーん、それはちょっと結構かなりショックだけれども、生きるためにはそんなこと言ってられないしね。

f:id:calorina:20190127180506j:plain



とにかく、よーくよーく納得できる素晴らしい説明であった。ダヴィンチというロボット手術も導入されているんだって。このあいだ見た嵐の二宮君が出てた「ブラックペアン」という医療ドラマと同じだね。でもここでは全国からエキスパートが集まっていて症例も多く、ダヴィンチより人の手のほうがいいと先生自ら言っていた。私が言うのもなんですけれど、と少し照れながらも、その言葉には自信が感じられてとても良かった。腕に自信のある先生にやってもらいたいからね。堂々と技術を誇って欲しいからね。

 

この先生は地方のご出身だったけど、やはり、全国のエキスパートが集まるこの病院でやってみたかったんだそう。同じような志の先生が、全国から集まるんだそうです。

 

私からの質問は、46歳は若いほうですよね、ということ。確かに若いほうだと言われた。そっか、これだけがん患者の多い病院でも、私は若いほうに入るんだね…。それで、50歳以下の女性には婦人科の関連も調べたほうがいいということで、この日このあと婦人科で子宮と卵巣のがん検診を受けたのであった。これは聞いてなかったけれど。

 

幸い、すぐに診てもらえて、「特に所見は見当たらないから、手術がんばってね」と婦人科の女医さんに励まされ、思わずうるっときた。

 

私からの先生へのもう一つの質問。

このがんは去年の会社の検診では見つからなかったけど、どういうことでしょう?

 

これには、去年はあっても小さかったかもしれないと。で、来年まで気づかなければどうなっていたんでしょうと聞くと、かなり大きくなっていたでしょうねと言われた。かなり、ですか…。若いと進行も早いっていうしね…。今回もし気づかなかったことを想像すると、本当に怖くなる。体を切るのはいやだけど、いま見つかったことは本当にラッキーなのである、と改めて強く思う次第。おしりカメラ大事!!!

 

この先生も本当におだやかで頭がよさそうで。こういう先生にどんどん活躍していただきたい。かれこれ1時間くらい話していたかもしれない。こんなに時間をかけてくれることに感激した。さすががんの専門病院、有明だからなんだろうか。がんの手術前には、みんなこのくらい詳しい説明を受けるものなのかな。

 

手術までの日程がスピーディで驚いたことについても聞いたら、ここはなるべく待たせない方針だと。やはりここにしてよかったと、とみに思う。まぁ、まだ手術前だから、今のところはね…という但し付きだけど。全体的にここまでの印象はものすごくいい。

 

山のような承諾書(輸血のとか、研究に参加することに同意するかとか)にサインをした。承諾書には怖いことも書かれているから、慎重にサインしたいけれど、サインしないことにはコトが始まらないのでね…。

 

--------------------------------------------------

 

そのあとベッドに戻ったら、今度は薬の説明のT薬剤師がやってきた。薬の一覧表を持って。これも写真付き日付別に分類されたカラーの資料でとてもわかりやすい。薬といってもほとんど点滴なのである。1本6時間かけて24時間で4本、それを2日半だと…。食べ物の代わりに点滴だものねぇ、ずっとぶらさがっているのだね、点滴が。だからここのみなさんは、点滴しながら歩いているのだね。私もそんな生活に突入するのか…まだ信じられない。

 

けど、もう、ここは病院で入院病室で、私は患者。避けられない事実なのである。なんだか現実と非現実の間を行ったり来たりしている気分。先生方の話を聞いているときはとても客観的な気分で、記者の取材の気分で聞いてしまうのだけれど、これはまぎれもなく私自身の体の中でこれから起こることなのである。なんだかすごく変な感覚なのである。

 

先生の説明を聞いていると、臓器を切ることの影響がどれだけ大きいか。想像するだけで恐ろしくなる。間違いなく今までの、今日いる自分とは違う自分の体になっているということが、果たしてどういうことなのか。軽くとらえている場合じゃない。いや軽くとらえてはいないけれど、そんなに明るくもいられない未来だよなぁ。なんて実は結構思っている。客観視しているとはいえ、実はやっぱり不安は大きいよ。社会復帰がいつどんな風に出来るのかなぁ。でも、とにかくやってみるしかないんだよね。

 

2週間の入院も、早い人はもっと早いとか。痛み止めの点滴は、自分の痛みに応じてボタンを押したら注入されるというけど、その痛みも人によって違うとか。そりゃあわかっているけれど、自分がどのタイプなのか未知なのは結構不安ではある。身体はひとりひとり違うから、もう、本当にやってみるまで誰もわからないのだ。

 

---------------------------------------------------------------



晩御飯の前に夫と二人で、1Fと5Fでお買い物をした。手術用のパンツとか、ストーマ用のハサミとかね。楽しいお買い物とは言い難いが。そういえば明日は1Fのタリーズでコーヒー講座があるから、夫と二人で出ようかなと。

 

部屋に帰ったらもう夕食が置いてあって、夫を見送ってから一人で食べた。今回も魚だが、相変わらずお吸い物が美味しい。

f:id:calorina:20190127172825j:plain

食べ終わったころ、夕日がきれいに見えるわよ!と部屋のみんなが言うので窓辺に行ってみたら、確かに都会的なきれいなグラデーションの空であった。思わず窓を少し開けてもらって撮影した。Nさんによると反対側ではTDLの花火が見えるらしい。そういう思いがけない楽しみもあるのね、ここは。

f:id:calorina:20190127172850j:plain



そして歯磨きして、いま、サロンスペースでパソコンでこれを書いている。部屋はどうも薄暗くて良くない。私の居場所は、差額ベッド代なしの、通路側の窓がないエリア。差額一日5000円で窓側も選べたけど、2週間で5000円か…結構なお値段。ここは我慢して、高級温泉旅館代に回したいから(笑)

f:id:calorina:20190127172914j:plain



点滴もつけてない元気な患者のうちは、明るくて広々としたサロンスペースにいる時間を多くしよう。明日からはポケットWifiも届くし、もっと快適にいろいろやれそう。

 

でも消灯は9時、完全消灯は9時半なんだよね…。早寝早起き。長い一日だったなぁ。今夜はよく眠れるといいな。今日は朝家を出る前にシャワーしたから、シャワーは明日にしよう。

入院前夜はとにかく忙しかった

2018年8月16日(木)

 

入院前夜はとにかく忙しかった。

 

北海道から横浜に戻ってきたのが8月14日。そして、入院するのが8月17日。

つまり8月16日は入院前夜である。

とにかく大忙しの一日であった。

 

朝と夜にスカイプレッスンがあり、

日中は掃除に洗濯、買い出し。

なんせ明日から2週間、わたしは家を空けるのだ。下手したら2週間以上?

それは手術してみないとわからない…。

最悪のことは考えない。けど、2週間おかあさんがいない家というのはね。いろいろと、もろもろの準備が必要なのであるよ。

 

明日から母と、義理の母と、ふたりの母たちが交代で我が家に寝泊まりし、子どもたちのサポートをしてくれる。

 

たとえ親であれ、よそのひとに家に寝泊まりしてもらう、しかもわたしがいない間に…

この状況、あまり気持ちのいいものではない(苦笑)

ふだんからすみずみ掃除が行き届いている家ならまだしも。ねぇ。

となると、掃除にも気合が入るし、シーツやバスタオルなんかのお客様用も準備したくなる。

 

ということで、押入れから台所にお風呂まで。いつもより頑張った。

 

そうこうしているうちにお昼になる。夏休みの次男のためのオムライスを作る。しばらくご飯づくりも出来ないなぁ。だから好物を作ってあげたい。

 

買い出しでは、お母さんたちのためにスリッパやバスタオルなど。そしてこの先1週間は大丈夫なように、食材も買い込んだ。北海道からいきなりやってくる母が、この都会で買い物にいけるわけがないし、行かせたくないし。準備できることはしておかないと!

 

晩ご飯は、スープカレーとかトンカツとか、大好きだけどきっと今後あまり食べてはいけなさそうなものを食べに出かけようと思っていたけれど、ダメだ。忙しくて!無理無理…

 

スーパーでさっき買ってきた安いお寿司と天ぷらを、ビールも飲まずに、淡々と食べる夕食となった。こんなものよね…。まぁ、ある意味、普段通りっていうことが一番よいのかな。

 

丸一日動き回ってへとへとになったけど、最後に一仕事。

 

病院に持っていく荷物を小さいスーツケースにまとめ、出陣への準備は整った。

わたしの気持ちも、うん。整ってる。はず。

 

乾いた洗濯物の山に手を付けることだけが出来ず…

息子たちよ、ここだけは、頼んだよ。おばあちゃんたちが来るまでに、たたんで、しまっておくことを責任もってやりとげておくれ…。

 

しばし私のベッドともお別れだ。

本当はゆっくりじっくりベッドでの眠りを満喫したかったけれど、あれよあれよと、午前2時になっていたよ…。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

手術前さいごのオフィスと、サシ飲みカミングアウトで嬉しいこと

2018年8月15日(水)

 

終戦の日

ある意味、賑やかになる靖国神社を横目に、わたしは入院前最後の出勤で九段下のオフィスに向かった。暑い暑い。とにかく暑い!

 

夏休みをとっている社員も多いこの日、オフィスは人も少なく、落ち着いてた。

わたしはすでにチームメンバーへの業務の引継ぎなどは終えていたから、この日は、総務の担当の方と入院とその後の勤務についての話をしたり、給付金関連の話をしたり。

メールをチェックして、取引先の方々に休暇のお知らせメールを書いたりした。

 

しばらくオフィスに通勤しなくなるんだな…という実感は、全然ない。

なにもかもが通常通りなんだもん。相変わらずどこも痛くも痒くもないし。本当にもうすぐ手術するのかな私…

自分でも本当に変な感じがする。

 

それでも最後の出勤日である。そうなのである。

職場のみなさんに励まされ、オフィスを出てもなお、実感はわかないんだけどね…。

 

この日の夜は、

数年ぶり?に会う友人と小さなイタリアンレストランで待ち合わせた。気の置けない友人。もちろん、がんの話はまだしていない。けど、これから話そうと決めていた。二人きりで誰かと会う時は、相手がよほどの心配性でない限り、わたしはカミングアウトする。話そうと思って話すわけではないんだけど、話したくなってしまう。聞かされるほうも、たやすく聞ける内容でもないよね…と思うし、悪いなぁこんな話題…と思うこともあるけれど、なぜ話すかと言うと、私と同じ目に遭ってほしくないから。それに尽きます。しっかり対策をとれば、回避できなくもないことなんだよ、ということを、大切な友達にちゃんと伝えておきたいから。

 

なのでこの日もじっくりと話した。彼女はしっかりと受け止めてくれた。受け止めてくれたどころか、辛い記憶も紐解きながら、わたしを勇気づけてくれた。さらには、検査を受けなきゃと思っていた自分の背中を押してくれてありがとう、とまで言ってくれた。実際に、それからすぐに彼女はおしりカメラの予約を取り、実際に受診までしてくれた。

 

私の話を聞いて、おしりカメラを実際に受けてくれる人は、実はそんなに多くはない。みんないろいろな理由で、すぐには行動に移せない。でも、すぐに受けてくれる人もいる。そして早期にポリープを見つけて取っている。それこそが、わたしのカミングアウトの理由。「検査受けてきたよ!」の報告が、わたしにはとても嬉しい。検査で何か見つかっても見つからなくても、一度検査しておくと安心はできるよね。受けた人の報告の声は概して明るい。体のことは、いろいろとみんな不安や不具合があるけれど、おしりカメラでひとつ安心材料を得られれば、ひとつ不安を減らすことが出来るよね。それって、結構、大きいことだと思うんだ…。

 

大好きな友人に、ひとつでも安心材料をあげるきっかけが作れたら。がん患者冥利に尽きるってものです。

 

それにしても美味しいお店だったー。ご自慢のローストビーフは絶品でしたよ。

f:id:calorina:20190124233242j:plain



こんな風に友達と夜ゴハンを美味しいお店で♪っていうのは、次はどのくらい先になるんだろう。って、また考えちゃった。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp

バイバイ北海道。楽しかった夏の帰省旅行も終わり

2018年8月14日(火)

 

温泉で1泊し、もう横浜に戻る日がやってきた。北海道滞在の最終日。

なんとか天気は持ちこたえてくれて、曇り空ながら、雨からは免れた。ということで、夕方の飛行機の時間まで、もう少しこのあたりを観光できる!

 

新しく整備された天人峡の遊歩道を歩き、羽衣の滝の勇壮な姿を拝んだ。ここには小学生くらいの時、秋の家族旅行で来たよねぇ…なんて、懐かしみながら。

f:id:calorina:20190124230433j:plain



ランチは、急きょ合流した親戚のおじさんおばさんたちと、道の駅のレストランでにぎやかにいただいた。久しぶりに会うおじさんたちはみんな元気そうで。

この場ではもちろん、がんの話はナシ。さすがにみなさんを驚かせるわけにはいかない。だって今、こんなに普通に元気なんだもの。この状態でがんだって言ってもねぇ。説明が難しいし、混乱させるだけだし、わざわざ心配かけるだけなら意味ないし。

 

そんなわけで、楽しくランチをし、まだ飛行機まで時間があったから、大人気の観光名所となった「青い池」を目指すことにした。もう5年くらい前になるかな、一度行ったことはあるんだけど、せっかく近くまで来ているからもう一度あの美瑛ブルーに会いたい!と。

 

…と。

ものすごい人気なんですけど!!

駐車場に入れないレベルの混雑ぶり。いや、人気とは聞いていましたがここまでとは!!

臨時駐車場的なところになんとか車を止め、少し歩くと、無事に青い池に到着。

うん、やっぱりキレイな青です。

f:id:calorina:20190124230512j:plain



 

人の波がものすごくて、アジア圏のお客さんが半数以上を占めていた感じもありました。インバウンドすごいな…。

 

こうしていると本当にがんのことを忘れるので、もうずっと北海道にいたいよ。

 

でも時は過ぎ、フライト時間は迫るのだ。無情にも。

バイバイ、北海道。また帰ってくるから。絶対にね。

 

次の記事はコチラ。

c-calorina.hatenadiary.jp