がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母による大腸がんブログ~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴るブログです。

人工肛門って何?~直腸がんからの「人工肛門(ストーマ)」オストメイトになる

人工肛門」とは何か?

人工的に肛門を作るの?どういうこと?

っていうか、その言葉自体、わたしはがんになるまでよく知らなかった…

ときどき、「だれでもトイレ」で見かける「オストメイト」の文字も、何のことかあまりわかっていなかった。

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それが、直腸がんになって、いきなり自分事になったから驚きであります。おかげで、人工肛門のこと、かなり詳しくなりました。ですので、まだご存じない方のために、ここで人工肛門についてご紹介したいと思います。

 

人工の肛門、と聞くと、

お尻の穴にプラスチックか何か人工的なものを付け、スイッチか何かで排便をコントロールするもの?みたいなイメージありません?

だって、人工だし。何かロボット的なことを想像してしまうのは私だけ?

 

ところが、改めて言葉の意味を調べると、人工とは「人の手を加えて作ること」

どこにもロボット的な意味はありませんでした(笑)

 

と言うことで人工肛門とは。

本当の肛門が機能しない・または使えない状況の身体になったとき、排泄物をどこから出すの?という話になるわけですが、その出どころとして、なんと、腸が使われるのです!

 

つまり人工肛門とは、

「自分の腸をへその脇から体外に出し、腸の切り口から排泄させる」仕組みのことを言います。(これは私の体験から私が作文したものなので、医学的な説明とはちょっと違うかも知れません。悪しからず)

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本当にびっくりしたのは、自分のナマの腸が身体の外に顔を出すという状態!

これまで体内で粛々と消化活動にいそしんでいた腸が、いきなり日の目を見るというか。外の世界に引っ張り出され、排泄担当になるという…

これは結構、かなり衝撃でした。人体の不思議。体ってすごい!

 

その様子たるや、まさに、へその隣に突如現れた赤い丸。梅干しと表現されることが多いようですが、梅干しにしては着色料がきつい(笑)赤いやつ。腸ってこんな色なんですね…当然ですが初めて見た。

 

そして、腸の穴から、お通じが脈々と排出されるんですよ。穴は小さいから、少しずつ少しずつ、ニョロニョロという感じで。大腸を通過しない排泄物は、色も匂いも、普通のソレとはずいぶん違って。例えるなら赤ちゃんのソレのような感じでしょうか。そしてそれは、自分の意思とは無関係に、食べて、消化が終わって、そこまで到達したときに自動的に出てくる。本当にコントロール不能な排泄現象なのであります。

 

さて、それを受け止めるのがパウチと呼ばれる「袋」です。梅干しのような腸(直径2センチくらいかな)をすっぽりと覆い、かつ、肌に密着させ貼り付ける袋を身体に取り付けます。袋は非常に高性能で、匂わないし、漏れないし、お風呂に入っても大丈夫な強度!ただし、貼り付け方が甘かったり、強い力で押しつぶしたりすると、もちろんはがれたり破れたりはするかも…。

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ですので、手術後にいちばん力を入れたと言っても過言ではないのが、パウチ交換の練習でした。このために、直腸がんでストーマ造設をした患者は、そうでない大腸がんの患者より1週間ほど長く入院期間をとるわけです。看護師さんによる最終テストに合格するまで(笑)交換練習を重ねます。

 

古いパウチをはがして、ストーマを洗って、新しいパウチを付けて…って文字で書くとそれだけなんですけどね。これが6ステップくらいの工程があって結構面倒くさいのですよ。「面板」と「パウチ」を「練り状の皮膚保護剤」を使って皮膚に密着させ…ってね。ただ単に袋をかぶせればいいってものではないんです。

 

有明ではまずパウチ交換のやり方をビデオを見て学ぶんだけど、正直、これ私できるかしら…と思うくらいに煩雑。でも看護師さんに「どんなおじいちゃんでも自分で出来るようになってますから大丈夫です!!」と言われ、そ、そうですか…と。頑張りました。(ときどき、奥様に交換をさせているといった患者様もおられるようですが、これは、自分で出来ないと災害時や緊急時にひとりになったときに非常に困ると思います。なので、どんなおじいちゃんでも、ひとりで出来るようになる必要があるのです!)

 

パウチ交換は、週2~3回のペースでおこないます。その間、寝ても醒めても、パウチの中にお通じが溜まっていき、溜まるたびにトイレに捨てるということをするわけです。当たり前ですが、皆さんが通常やっている「トイレに座ってお尻の穴から排便する」、ということはストーマの人はしません。その代わりに、袋の中身を捨てるんです。捨てるときは座って捨てるのですがね。本当は立って、腰の位置にトイレがあるほうがやりやすい。

 

ということで、オストメイト用のトイレと言うものが存在するんですね。

このマーク、見たことがあると思います。これこそが、人工肛門の人(オストメイトと呼びます)向けの排泄所がついているトイレなんです。

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洗面所の大きいやつが個室にありまして。立ったままパウチを開いてここにお通じを捨てて、水洗ボタンを押して流す。これは本当にやりやすくて便利!私は、駅やデパートなどでオストメイト用のトイレを見つけては喜んで入っていました。

(写真は、お世話になっている車のディーラーさんのトイレ。とても綺麗なうえに、オストメイト仕様になっていて感動した…)

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ところで私は、見た目は単なるアラフィフ女なので(笑)、だれでもトイレに入るのはちょっと抵抗はあります。妊婦にも見えないし子連れでもないし、どこにも障害があるように見えない。でも、そういう人でもオストメイトなんですよね…

見た目ではわからない障害がある、という当たり前のことに、自分がなって初めて気付かされました。

(ちなみに、永久人工肛門の方は、障害者手帳が発行されます。私は一時的ストーマなのでそうではないのですが)

 

このように、トイレ問題は思ったより不便ではなくて、慣れれば平気でした。タイミングよくトイレに行くだけですから、数時間もトイレに入れないような状況さえ避ければ(登山とか高速道路の渋滞など)たいがいのお出かけも大丈夫です。

 

恐れていたのは、食べ物が詰まって便が出なくなること。ストーマでの排泄は、食べたものによって、お通じの形状や匂いがダイレクトに影響を受けます。こんにゃくとか、青菜、海藻など、形がそのまま出てくるような食材は食べすぎ注意。アルコールを飲むとゆるくなる、ニンニクやニラは当然だけど匂いが強くなる…などなど。コツをつかめば、そのあたりの食べ物コントロールは可能なので、幸い私は詰まることはありませんでした。

 

あとは服装問題。へその横に常に袋をつけている「有袋類」なため(笑)、袋を圧迫しないような服が求められます。たとえば、へその下で履くローライズのジーンズなんかはOK。服で袋を隠したいので、丈長めのトップスは必須。なので、普段はあまり着ないチュニック+レギンスという組み合わせを取り入れてみました。退院後すぐは買い物にもあまりいけないので、DoClasseの通販が大活躍でした。

買い物に行けるようになってからは、無印とかHeart Marketというプチプラのお店でこんなコーデを買ったりしました。

 

 

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ストーマパウチ(袋)の可愛いカバーなんてのもあるんです。これもネットで見つけて買いました。こういうの付けると、気分が上がります♪

 


 

ちなみにストーマの写真はもちろん撮ってあるけど、ちょっとブログに掲載するには刺激が強すぎると思うので…気になる方は画像検索などでお探しくださいね。

 

また、この本には大変お世話になりました。快適ストーマ生活とは、なんとわかりやすくいいタイトル!イラスト満載で楽しい一冊です。

 

 

 

なお、専門家によるより詳しくわかりやすい解説は、がん研有明病院の専用ページをぜひご覧ください。さすがによくまとめていただいています。

ストーマ(人工肛門)について|WOC支援室|がん研有明病院

 

このほか、ストーマと温泉の話とか、まだまだ語りたいことはありますが…

人工肛門とは何か。おわかりいただけましたら幸いです。