がんストーリーは突然に~46歳、働き盛りの2児の母による大腸がんブログ~

2018年夏、元気印の働く母が突然がん患者になっちゃった…入院そして外科手術を経て、まだまだ続くがんストーリーを綴るブログです。

入院15日目:術後11日目 ついに退院の日!さよなら有明、そして思いがけず思い出の東天紅でランチ♪

2018年8月31日(金)

 

ついに退院の日となった。

 

朝は普通に目が覚めて、また素晴らしい朝日を望むことができた。

 

f:id:calorina:20190530000104j:plain

そのことについては Facebook と本家ブログにアップしたので ここには書かないけれど。

calorina.hatenablog.com

 

朝陽を見た後、病棟内でまた壮絶な闘病をしてきたおじさんと出会い、しばしそのストーリーに耳を傾けた。(上記の記事を参照)

やはりここは 癌の病院なのだな…と改めて実感している。

 

朝ごはんは昨日に引き続き(笑)全部平らげて、それからすぐに身支度を整えた。ベッド回りの私物を大きなトートバッグと小さなスーツケースに詰め込んで、帰り支度である。着替えは、ストーマをつけているせいで、入院するときに履いていたややスリム気味のパンツは履けず…。夫に家から持ってきてもらったワンピースを着ることにした。ストーマにはワンピースが一番♪

 

退院準備が整い、しばし読書をしていた。最後の日に読んでいたのはこの2冊。

f:id:calorina:20190530000804j:plain

 

すると9時過ぎにレセプトを持った 会計のお姉さんがやってきた。総額約12万ほどの支払いとなるらしい。思ったより随分安くて、正直驚いた。15日間も入院して、食事もついて、手術もしてもらって1泊1万円もしない計算って!これもひとえに、健保組合からのサポートがあるからこその金額だから(高額療養費補助制度。これについてはまた後日詳しく書きます。)

 

そうこうしているうちにようやく10時過ぎ、迎えの夫が到着した。それまで私は、奥のベッドの二人と少し話をしていた。同じ日に入院したものの、私よりずっと状況が厳しくて、ハードな手術を受けたNさん。術後すぐはICUに入り、この部屋に戻ってくるまで本当に心配だったこと。そしてそんなNさんが日々元気になっていくのを見るのを、私はとても楽しみにしていたよ!って伝えた。逆にNさんには、あなたからいつも元気をもらったよ!と言われ、嬉しかった。

 

Kさんには、 入院してすぐの時に色々教えてもらえてとても安心したよ!ありがとう!と言われた。そんな私こそ、知らず知らずのうちに2人に励まされていたし、また、二人を励ましてもいたのだと思う。この持ちつ持たれつな不思議な温かい感覚は、入院した者同士しかわからないかもしれないね。思わず涙がこぼれた。人との出会いや別れにどうも弱い年頃らしい(笑)。

f:id:calorina:20190530000421j:plain



看護リーダーのMさんに夫とのツーショットをベッドサイドで撮ってもらった。本当はMさんとも一緒に撮りたかったけども、お断りされてしまった(苦笑)。

f:id:calorina:20190530000832j:plain



そういえば朝、執刀医のF先生にも少しだけお会いすることができた。 一緒に写真をと思ったけれど、この間いちど撮らせてもらったしね…と、今朝はあっさりとお別れした。 まあ、また外来で何度もお会いするしね。 他にもお世話になった若い看護師さんたち一人一人にお礼を言いたかったけれど、朝の忙しい時間帯である。邪魔しちゃいけないので、そーっと部屋を出て病棟を後にした。

 

1階のお会計マシンでは、高額だけれども、クレジットカードで簡単に支払いができた。なんかとてもあっけない感じがするね…。そして1階には今日これから入院する人たちがいっぱいいて、その前を通って駐車場へと降りた。

 

駐車場の空気はとてもむわっとしていて暑くて。そうかこの空気感も15日ぶりなんだなぁ、と思うと、あぁわたしは下界に戻ってきたんだなという実感がした。温度管理されていた病棟内でヌクヌクと過ごしていたから、このむっとした暑さは一気に私を現実の世界に引き戻す…

 

車に乗り込んで、 時間もまだ早いし高速にすぐに乗らずに下道で帰ってみよう!ということになった。とても天気がいい朝なので、どうせならゲートブリッジを通ってみたいなぁと夫にお願いした。ナビに従って スムーズにゲートブリッジをくぐることができた。

f:id:calorina:20190530000915j:plain

 

海の上はとても気持ちがいいし、今まで自分がいた病院の建物が、今度は対岸に見えることがなんだか不思議で。 今まで病棟の窓から平面で見ていた世界が、立体になって目の前の現実として広がっている…という感覚は何とも言えないものがあった。 あの景色の中に、いま私はいる。病院から抜け出して、私はまた立体の世界に戻ってこられたんだ!と思うとやはり感慨深いものがあるね。

 

ずっと下道を通って大森を抜け 、川崎を過ぎ鶴見に入り… 見慣れた横浜駅東口を抜け、ランチには中華街の謝甜記に向かうことにした。お粥で有名な大人気のお店である。しかし…謝甜記は予想通り大混雑の模様。この炎天下に並ぶのも体力的に辛いので、 コレットマーレの中華の店に行くことにした。なぜに中華か?それはお粥があるから♪

 

すると目に入ってきたのがクロスゲートに入っている「東天紅」の文字、まさかこんなところに東天紅が入っていたとは知らなかった!東天紅といえば、札幌で私たちの結婚パーティをした店なのだ。懐かしくて、ちょっと嬉しくて。 きっと東天紅なら落ち着いているだろうし…ということで急遽方向転換し、コレットマーレではなくクロスゲートに入った。

 



ビルの最上階にある東天紅からの眺めは素晴らしくて!

しかも店内は落ち着いていて、今日の退院後初めてのランチにはふさわしい場所だと思った。立派なメニューを開いて食べるものを選べるというしあわせ…もうそれだけでワクワクする。まだ食べられるものは少ないけれど ランチコース1800円を選ぶことにした。なぜなら豆乳粥がついていたから♪ しかもデザートビュッフェもついているという…。いやいや術後だし退院直後だからそんなに量は食べられないけれど 、この状況にわたしは少し華やかな気持ちになった。

f:id:calorina:20190530001049j:plain



出てくる料理もどれもとても美しくて 。病院のご飯は美味しかったけれども、やっぱりそれよりもずっと味が濃くてとても美味しい。いや、 味が濃いと言ってもそんなに濃いわけではなくて、さすが東天紅。上品な味わいでした。

f:id:calorina:20190530001111j:plain



コーヒーと紅茶が選べるのでアイスティーを選んだ。コーヒーは1か月くらいは避けようと思ったから。

 

ウエイターさんに、私たちは東天紅で結婚パーティをしたんですよ!と話すと、どこですかと?言うから札幌ですと言うと、あーセンタービルですね~とすぐにわかってくれた。そのセンタービルの東天紅は2006年に閉店してしまい、当時北海道に3店舗あった東天紅は今はひとつもないらしい。それはちょっと寂しいこと。でも、 だからこそ今日ここで東天紅にいるということがなんだか凄いことのような気もして。 いろんな縁があるものだなぁと思う。

f:id:calorina:20190530001218j:plain



窓の外を見るとこれまた素晴らしい風景が広がっていた。 いつも行くお気に入りの商業ビル・コレットマーレから見るのと角度が違っていて、ちょっと新鮮なみなとみらいの風景。そして建設中の大きなマンション。これが今、有明と人気を二分していると言われる馬車道の大きなマンションだね。 私は有明から馬車道へとやってきて、大きなマンションの建設の様子を1日に二つも見たことになるね。面白いなぁ。

f:id:calorina:20190530001024j:plain



2時間ぐらいゆっくりとランチをして、ついに我が家へと帰ってきた。外はとても暑くて、あぁ、みんなはこんな暑い夏の中にいたんだなぁ…と、まだ夏は終わっていないことを実感する。 荷物が多いので夫の駐車を待って、ゆっくりと二人でエレベーターに乗った。

 

部屋を開けると玄関をはじめ、どこもかしこもピカピカに磨き上げられていた!北海道の母も妹も義理の母、すごく頑張って綺麗にしてくれたんだなぁと思うと… とても嬉しいし恥ずかしいしありがたいし申し訳ないとも思う(汗)。

 

でも母たちふたりはきっと、まだまだ自分たちは現役で必要とされている存在だということを今回強く実感したと思うから、それはそれで良い機会だったんじゃないかなとも思う。そのことで、私は、本当に助けられたもの。これがまさに、親の介護の真っ最中だったら…自分ががんで2週間も入院とか…本当にきついと思うよ。両親たちの健康な身体には、本当に心から感謝したいよ。

 

キンクマハムスターのケイティがお腹を上にして寝ていて可愛かったけれども、 ケイティと呼ぶとちょっと目を開けて私を見て、とても可愛かった。 コリンも私に気づくと走って飛びかかってきて、嬉しそうに激しく尻尾を振った。どうやら私のことをまだちゃんと覚えているようで嬉しかった♪

 

病院の生活はそれなりに快適だったけれども、やっぱり自分の家が一番いいなと思う。誰にも邪魔されない私のお家は、やっぱり居心地がいいのだ。 それにしても…こうやって家まで帰ってくるだけで、ものすごく疲れた感じがする。 そんなに歩いたわけでもないのに。不思議な感じだけど、なんだか全体的に力が入らないのだ。お昼ご飯を食べてちょっと元気にはなったけど 、これが手術をした後の体ということなんでしょうかね?

 

家では荷物を少し片付けたり、明日からの食材をイオンとアマゾンで発注したり。ぼちぼち家のことをやり始めている。夕飯はホットクックでチキンのトマト煮を仕込んだり(結局それが一番シンプルで簡単で何も考えずに作れるらくちんおかずなのだ)、おかゆを仕込んだりしていた。

家で食べる料理も、術後を意識して、食事指導に沿った内容のものを作りたい。かといって別に特別な料理ではないので、いつも通りでほぼ大丈夫!

f:id:calorina:20190530001302j:plain



そうこうしているうちに次男が帰ってきた。中1の次男は、しばらく見ないうちに少し背が伸びたみたいで、私よりちょっと大きくなったような気がした。次男は私の退院に対しては 意外とあっさりとしていて、特に嬉しいような顔はしていなかったからちょっと寂しかった。けれど本当はお母さんが帰ってきて嬉しいと思っているのかな?

 

ここまで音声入力でベッドで書いているんだけど、声を出して喋るのも結構疲れてきた…。何だろう?やっぱり自分の体なんだけど、前の自分の体じゃないんだなぁという感じがすごくする。

 

でもでも。

手術前と同じ生活に戻れたということが嬉しいような不思議なような。自分の家に無事に戻ってこれて、自分のベッドで眠れることは本当に良かったと思う。

 

まだまだ油断はできないけれども、まずは第一歩。

夏が終わり、直腸のがんが切り取られた身体で、いまこの場所に。私の居場所に帰って来られたことに心から感謝したい。